夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

食品のアウトレット

 今日の日経新聞の記事から。

「ワケあり」食品 主婦ら行列


 キズ・ヨゴレ有り、賞味期限近し……。「ワケあり」の品を格安で買える食品のアウトレット店がにぎわっている。菓子やパン工場では敷地内に作りすぎたり、形崩れした商品などを並べたアウトレットに開店前から顧客が行列。客数が昨年に比べ五割増えた店もある。包装の汚れたカップめんやレトルト食品などを売るネット通販も人気だ。安くて安全なら少々の「ワケ」にはめをつぶろうっとーー。節約志向でこんな思いを強める人が増えている。


日本経済新聞 2009年3月17日

 食品の見た目は、購入動機として重要なファクターです。しかし、菓子やパン工場では、それらの製品が100%きれいにできるはずもなく、生産途中で形が変形し、はねられる商品も多いでしょう。いままで、廃棄されてきたそのような食品が格安で販売されるのであれば、生産者、消費者、環境にとってみんなハッピーでしょう。

 アウトレットモールがあふれる現在、「アウトレット食品」「アウトレット食材」「アウトレットフード」というネーミングも消費者に受け入れられやすい名前です。これが、「形崩れ食品」「規格外食品」「棚ずれ食品」だったら、ちょっと……という人もいるのではないでしょうか。

 ある食品アウトレット店のネット通販のサイトを見ましたが、缶詰やレトルト食品など確かに格安でした。通常の半値以下の商品がごろごろしています。

 アウトレット食品のように、きちんとした「ワケ」があって安い食品は、私たちは安心して購入できます。しかし、通常価格よりだいぶ安くその理由もよく分からない「ワケなし」食品は、その裏に何か危ない理由が隠れているのではないかと私は勘ぐりたくなります。

 人それぞれに歩んできた人生があるように、食品製造にもいろいろなストーリーがあります。お菓子やパンの工場見学などに行って、食品誕生・成長の過程を見ることは、科学的データでは培われない「食への安心」の醸成に繋がるのかもしれません。