夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

主食は良いけど、お菓子はダメ?

 「食の安全」とそのコストに関するニュースから。

「食の安全」での値上げ 牛乳やパンなら許せる?


 牛乳やパンでは、消費者が「食の安全」のために受け入れられる値上げ幅は企業が考えているよりも大きい――。日本政策金融公庫が主要な食品14品目について企業と消費者の双方に尋ねた調査でこんな結果が出た。
 消費者が許容する値上げ幅が企業の想定を上回ったのは「牛乳・乳製品」と「パン」「糖類」「精穀・製粉」の4品目。牛乳・乳製品では企業の想定した値上げ可能幅が平均6.4%なのに対し、消費者は同7.9%まで許容できるとした。「食生活に欠かせないものほど『安全のための値上げは仕方ない』と考える消費者が多い」と同公庫はみる。
 一方で「菓子」や「冷凍食品」「飲料」など10品目では企業の想定が消費者の許容幅を超えた。食の安全への関心は高まっているものの、足元の景気低迷もあり、「価格」に重きを置く人が多いようだ。調査は同公庫の農林水産事業本部が実施。企業(2405社)には1月に郵送で、消費者(2107人)には2008年12月にインターネットで質問した。


(日本経済新聞 3/10 17:10)

 食品が安全なのは、大前提です。しかし、食の安全が当たり前でないことが数々の事件から明らかとなった今では、安全の確保にコストが発生することを多くの消費者は、ある意味やむなしと感じているでしょう。

 アンケート結果から見えてくるものは、命を支える食品に対しては多少値上がりしても安全なものをという消費者の心理と、値上げすると消費者はものを買ってくれないのではないかという企業側の心理です。

 パンや牛乳など比べて、よく半額セールで叩き売られている冷凍食品などは、価格の上昇はなかなか消費者に受け入れられなくなっています。食の安全が最も求められている食品の一つが、この冷凍食品だと私は思うのですが。

 食の安全だけでなく、私たち日本人が当たり前と思っていた、防犯上の安全やきめ細やかなサービスも、対価を支払わなけれは得られない社会になってしまったと言えるでしょう。