夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

貯めたくないマイレージ、フード・マイレージ

 現在、私たちはスーパーマーケットなどで、きわめて短時間かつ効率的に必要なものを入手できます。これは生産から消費に至るすべてのプロセスを徹底した分業・効率化したことにより、食品の効率的な生産・流通システムの整備がはかられたためです。

 フード・マイレージ(Food Mileage)という言葉があります。「食料総輸送距離」とも呼ばれており、生産地から食卓までの距離が短い食料を食べた方が、輸送に伴う環境への負荷(CO2ガス排出)が少ないであろうという仮説を前提として考え出されたものです。

 農林水産省の2001年の試算によると、日本のフード・マイレージは、総量では世界中でダントツで大きく、国民一人当たりでも一位となっています。これはさまざまな国からいろいろな食品を輸入することで、私たちの多彩な食生活が成り立っていることを表している反面、地球環境へ大きな負荷をかけていることを私たちは忘れてはならないでしょう。

 「季節季節のものを、地産地消する」ことは、環境にやさしいだけでなく、新鮮で美味しい食品を頂く上でも重要でしょう。

 フードマイレージは、貯めたくないマイレージです。