夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

主食もトクホ

 ついに主食の分野にも「特定保健用食品」が登場してきました。

山崎製パン、特保の食パン 食後の血糖値上昇抑える


 山崎製パン特定保健用食品(特保)の食パン「モーニングバランス」を4月1日に発売すると発表した。体内で消化されにくい炭水化物を含み、食後の血糖値の上昇幅を抑える効果が期待できるという。1斤の希望小売価格は315円で、同社の通常商品より約4割高い。主食のパンで特保は珍しい。
 タピオカデンプン由来の炭水化物、難消化性再結晶アミロースを1枚(70グラム)あたり3グラム含む。小腸で吸収されにくいため食後の血糖値上昇をおだやかにするとして、厚生労働省から特保の表示許可を受けた。


(2009年3月6日/日経産業新聞

 加工食品であれば、何らかの機能性成分を添加すれば簡単にトクホが作れてしまします。

 市場にはたくさんのトクホ食品が出ていますので、「一回の食事がすべてトクホ」というのも可能でしょう。もちろんトクホだけ食べていれば病気が予防できるわけでもなく、基本となる栄養バランスを守らなければ、いくらトクホを積極的に摂っても、サプリメントを何種類も飲んでも病気のリスクは下げられないでしょう。

 ところで、上のような小腸で吸収されにくい系の成分は、その消化管下部の大腸などで「悪さ」はしないのでしょうか。脂肪の吸収を抑える物質を含んだトクホはたくさんありますが、吸収されなかった脂肪は大腸組織に何らかの影響は与えるはずです。短期的な影響はないでしょうが、長期的には大腸がんのリクスを高めるなどの危険性がひょっとしたらあるかもしれません。ヒトでの長期的な評価はなかなかできないので、証明は難しいでしょうが。