夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

食に関するアンケート調査から見えてくるもの

 食に関する面白い調査レポートから(ネットマイル)。

ネットマイルでは食について、2009年2月13日にアンケート調査を実施した。回答者の状況は「男性」「女性」各300名。年代は「10代」「20代」「30代」「40代」「50代」「60代以上」各100名。婚姻状況は「未婚」が44.8%、「既婚」が55.2%。

「賞味期限と消費期限」は8割以上が“理解している”


「食にまつわる用語についておうかがいします。」という質問を10項目にわたって、「よく知っていて他人に説明できる」から「知らない」までの4段階評定でおこなった。10項目を比較すると、「よく知っていて他人に説明できる」と「ある程度理解している」をあわせた“理解している”については、「7)賞味期限と消費期限」の回答率が83.4%と最も高く、次いで「1)食育」が54.6%、「8)スローフード」が45.8%と続いた。
一方「知らない」については、「10)FOOD ACTION NIPPON(フード アクション ニッポン)」と「6)緑提灯」の回答率がともに8割を超え、さらに「3)マクロビオティック」と「9)フードバンク」も6割弱に達した。
日頃の食生活に関わりの深い用語については理解が進んでいるようだが、NPOやボランティア団体が行っている食に関する活動については、まだまだ認知度が低いようだ。

 賞味期限と消費期限は”理解している”というより”聞いたことがある”という程度の人も多いでしょう。賞味期限と消費期限の違いを知らない学生は結構います。”消味期限”という存在しない言葉を使う学生を私は何人も見ています。
 「緑提灯(みどりちょうちん)」に関しては私も知りませんでした。ウェブで思わず調べてしまいました。詳細はこちら

食問題の関心事—男性は「日本の食料自給率の低さ」、女性は「食品の安全性」


「食をめぐる問題の中であなたが最も気になるものは何ですか?」という質問をおこなったところ、全体では「日本の食料自給率の低さ」の回答率が37.2%と最も高く、次いで「食品の安全性」が31.0%、「肥満や生活習慣病の増加」が11.5%と続き、その他の項目は1割に満たなかった。
男女別に特徴的な項目をみてみると、男性の回答率が最も高かった項目は「日本の食料自給率の低さ」で43.7%、一方女性は「食品の安全性」で39.7%という結果であった。男性はより広い視野から、女性は身近なところに目を向けながら、食についての問題を捉えているといえそうだ。

 食問題の関心事に男女差があるのは面白いですね。この差の要因は、男脳女脳の違いなのか、ただ単に男は普段から料理しないので、身近な問題には気が回らないのか、気になるところです。

食生活で気をつかっている点は、“野菜の十分な摂取” “規則正しい食事” “栄養バランス”


日頃の食生活に「とても気をつかっている」あるいは「まぁ気をつかっている」と回答した444名に対し、「日頃の食生活でどのような点に気をつかっていますか?」という質問を複数回答でおこなった。
全体では、「野菜を十分に摂る」の回答率が60.4%と最も高く、次いで「1日3食規則正しく食べる」が55.9%、「栄養バランスに気を配る」が55.2%と続いた。
男女別に特徴的な項目をみてみると、全体的に男性よりも女性の回答率が高く、とりわけ「新鮮な食材を選ぶ」や「脂肪の摂りすぎに気をつける」「塩辛い食品は控えめにする」といった項目で回答率に開きがみられた。
また年代別に特徴的な項目をみてみると、「1日3食規則正しく食べる」では「10代」の回答率が他の年代に比べ突出して高く、8割弱にまで達した。さらに全体的に「60代以上」の回答率が他の年代に比べ高く、「60代以上」の健康志向が垣間見られる結果であった。

 朝食欠食児童の問題が、たまに話題になりますが、実態は”朝食欠食大人”の方がはるかに多いということでしょう。大人は子供を見習いましょう!?

食生活に気をつかわない理由は、「面倒くさい」「気にしても仕方がない」


日頃の食生活に「あまり気をつかっていない」あるいは「ほとんど気をつかっていない」と回答した156名に対し、「あなたが食生活に気をつかわない最大の理由は何ですか?」という質問をおこなった。
全体では、「面倒くさい」の回答率が30.8%と最も高く、次いで「気にしても仕方がない」が21.8%、「何に気を配ればよいかわからない」と「お金がかかる」がともに16.0%と続いた。
男女別にみてみると、男性は「気にしても仕方がない」の回答率が27.2%と最も高く、次いで「面倒くさい」が24.3%、「何に気を配ればよいかわからない」が17.5%と続いた。一方女性は「面倒くさい」の回答率が43.4%と圧倒的に高く、次いで「お金がかかる」が17.0%、「何に
気を配ればよいかわからない」が13.2%と続いた。
男性は「気にしても仕方がない」という理由で気に留めず、女性は「面倒くさい」という理由であきらめている人が少なからずいるようだ。
また年代別に特徴的な項目をみてみると、「面倒くさい」では「10代」、「お金がかかる」では「20代」の回答率が他の年代に比べかなり高く、いずれも4割を超える結果であった。さらに「気にしても仕方がない」では「50代」「60代以上」で回答率が他の年代に比べ圧倒的に高く、6割程度にまで達した。

 これだけ食の問題が騒がれていても、食生活に気をつかわない人が26%(156/600)と4人に1人もいるのは驚きです。食生活の意識改善は、やはり小さい頃からの「食育」が重要でしょう。

今後の日本の食文化を悲観的に捉える人が多数派


「食を取り巻く様々な問題がある中で、今後日本の食文化はどのように変化すると思いますか?」という質問を、「今よりずっと良い状況になっている」から「今よりずっと悪い状況になっている」までの4段階評定でおこなった。
全体では、「今よりずっと良い状況になっている」の回答率が0.8%、「どちらかといえば今より良い状況になっている」が28.3%、「どちらかといえば今より悪い状況になっている」が62.9%、「今よりずっと悪い状況になっている」が8.0%であった。
「どちらかといえば今より悪い状況になっている」と「今よりずっと悪い状況になっている」をあわせた“悪い状況になっている”の回答率を、男女別にみても年代別にみても、ネガティブな回答が半数を大幅に超えており、今後の日本の食文化を悲観的に捉えている人が多いことがうかがえた。

 今の日本の食料自給率の低さから考えれば、悲観的になるのもある意味当然といえるでしょう。ただ悲観的になりすぎるのも問題です。過剰な不安を抱くのは、マスコミの食問題に対する報道の仕方が、”恐怖商売”や”ホラー商売”であることが大きな原因です。
 「大衆が思うように未来は進んで行く」のが世の常ですから、人々とくに若い人が、食や農に対してまず希望を持てる社会に大人はしていかなければなりません。