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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

食品選び、安全性よりも安さ!

 以前のブログ「食の安全のコストは誰が払うのか?」で書きましたが、消費者が食品を選ぶ基準はやはり「安さ」のようです。

消費者動向調査:食品選び、安全性よりも安さ!


 景気悪化の影響で、消費者が安全性より価格重視で食品を選ぶ傾向を強めていることが分かった。日本政策金融公庫が13日に発表した08年12月の消費者動向調査によるもので、5月は安全性がトップだったが、半年余りで逆転した。調査は全国の20〜60代の男女2107人を対象にインターネットを通じて行った。回答率は100%。

 食品を選ぶ際に重視することについて質問したところ(複数回答)、「経済性」が34・6%と前回より7・4ポイント増え首位になった。「安全」は9・6ポイント減の31・7%で3位に後退。2位は「健康」で32・7%(前回35%)だった。

 食品に関する情報で最も関心のあるものも「価格」が49・8%と、「生産履歴などの安全性」(43・5%)、「産地やおいしい店、旬のもの」(35・2%)を上回った。

 一方、家庭で食べるコメの量を1年前と比べると「変わらない」が62・6%。「増えた」が25・9%で、「減った」の11・4%を上回った。小麦の価格高騰でコメ消費が増えたとみられる。【工藤昭久】


(毎日新聞 2009年2月14日 東京朝刊)

 景気悪化のせいで価格重視になっていると記事にはありますが、私は不景気のせいで消費者が経済性重視になったとは思いません。他のほとんどの商品がそうであるように、多くの人が商品を選ぶ時の最重要項目は「価格」でしょう。「安全性」は報道などで騒がれているとき多くの人は気にしますが、時間とともに忘れられるものです。不況にならなくても、時間が経てば「経済性」指向に戻っていたでしょう。「安全性」でなく「価格」で食品を選ぶことが、平常時の消費者の強い心理だからです。

 日本人は熱しやすく冷めやすいといわれています。食品の安全性も他の問題でもそうなのですが、日本人は、国中がパニックのように騒いでも、しばらくするとそれがまるで無かったかのように忘れてしまいす。何もかも一過性のブームで消費する日本人のクセは、食品安全面では大変な危機感を私は覚えます。

 食の偽装の問題にしても、中国産食品の問題にしても、食の問題は、消費者が長期的にどのような食品を欲するかで大きく変わっていきます。つまり、食品購入の最終決定権は消費者にあるため、消費者がどんなものを買うかで私たちの「食の未来」が決まるといっても過言ではないでしょう。

 そのため、食の安全性を揺るがす問題が発生した時、私たちは感情的にならずより冷静に対応し、逆に平穏時にはもっと食の問題に敏感になった方が、長期的な「食の安定」に繋がるのではないでしょうか。