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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

アンチエイジングフード、アンチエイジング食品とは?

食と健康 食と美容

 アンチエイジングという言葉が最近よく聞かれます。アンチエイジングは抗老化・抗加齢という意味ですが、これからの高齢者が激増する社会では、いかに健康に生きるかという点で大変重要な分野でしょう。

 しかし、どうも世の中のアンチエイジングは、「シワを取る」とか「肌の若返り」などの美容や美肌系に興味が集中しているように思えます。より若々しく、より美しく生活することになんの異議もないのですが、「表面」だけでなく、いかに「中身」を健康に保ち、健康寿命を延ばすことのほうがはるかに大事です。いくら肌がきれいでも、寝たきりでは寂しいでしょう。

 老化はじわじわやってくるものです。かぜなどの病気になったら薬を飲めばいいでしょうが、ゆっくりやってくる老化を薬で予防するのは非現実的な方法です。体に最も影響与えるものの代表はなんといっても毎日の食事です。食品で体の老化を遅らせるというのが、アンチエイジングフード(アンチエイジング食品)の概念です。

 人は誰しも年齢を重ねれば、体は酸化し、骨密度は低くなり、免疫機能は低下します。乳幼児には乳幼児期用の食事があるように、高齢者にも高齢期用の食事が必要なはずです。しかし、どのような食生活をすれば老化を防げるのか、どのような食品がアンチエイジングフードなのか、サイエンスの分野でも充分には明らかにされているとはいえないでしょう。

 ある食品の機能を調べるとき、糖尿病や高血圧などは、その食品を食べた後、血糖値や血圧をそれぞれ測れば実験できますが、老化の研究はそもそも何をマーカーにすればいいのかという問題があります。さらに、老化は数十年単位で進行するものなので、食品の長期的な保健的効果は正確には証明することは実際不可能です。

 特定の食品だけにアンチエイジングなどの効果を過剰に期待をすることは「フードファディズム」といって、大変危険な思想です。また、個人個人によって必要とする栄養も変わってくるでしょうから、かかりつけのお医者さんのように、栄養のスペシャリストである「かかりつけの栄養士さん」を見つけて、食生活全般の相談に乗ってもらうのが、アンチエイジングへの王道でしょう。