夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

宇宙食ブームの到来?

 最近,宇宙食に関するニュースを2つ見かけました。

宇宙ビール”はどんな味?…サッポロビールで試飲会


 国際宇宙ステーションで保管した大麦種子の子孫を原料にしたビール「サッポロ スペース バーレイ」の試飲会が、千葉県船橋市高瀬町のサッポロビール千葉工場で開かれ、抽選で選ばれた男女8人が“宇宙の味”を楽しんだ。


(2009年1月27日11時32分 読売新聞)

“宇宙食イチゴ”チョコ、兵庫・明石の天文科学館で販売


フリーズドライのイチゴが中に入ったチョコレート(明石市内で)
 バレンタインデーを前に、兵庫県明石市人丸町の市立天文科学館が宇宙食と同じ製法で乾燥させたイチゴのチョコレートの販売を始めた。同館が東京都内のメーカーから仕入れた。物珍しさから評判は上々という。


(2009年2月3日13時02分 読売新聞)

 また、日本食品科学工学会の学会誌では、昨年の5月から毎号のトップで「宇宙日本食の開発」という(異例の?)シリーズが組まれています。タイトルだけ紹介します。
2008年 5月号 「宇宙日本食の認証基準」
2008年 6月号 「(株)マルハニチロホールディングスにおける宇宙日本食の開発」「宇宙日本食レトルトカレーの研究及び開発」
2008年 7月号 「宇宙日本食(黒飴・ミントキャンデー)の開発に当たって」「宇宙日本食ワカメスープ・お吸いものの開発について」
2008年 8月号 「宇宙日本食の開発」「宇宙日本食向け包装材の開発」
2008年 9月号 「お茶で宇宙に”安らぎ”のひとときを」「宇宙日本食「羊羹」の開発」
2008年10月号 「宇宙日本食仕様「アルファ米」の開発」「宇宙日本食(マヨネーズ・白がゆ)の開発について」
2008年11月号 「世界初”宇宙食ラーメン”の開発」「宇宙日本食たまごスープの開発」
2008年12月号 「宇宙環境のストレスと宇宙食」
2009年 1月号 「宇宙日本食の開発をめぐって(ドリームチームの活動)」

 食の専門家でなくとも、興味を引くタイトルが並んでいます。

 宇宙日本食とは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が基準を設け、一般の食品企業がその基準に従って製造し,日本食品科学工学会が認証基準を満たしているかチェックする、いわば「日本人の日本人による日本人のための宇宙食」です。詳しく知りたい方は、JAXAのウェブサイトをご覧下さい*1

 現在、宇宙日本食の開発には、味の素、日清食品理研ビタミンヤマザキビスコ、カゴメ、ハウス食品尾西食品、三井農林マルハニチロ山崎製パンキユーピー大日本印刷の企業が関わっています。

 宇宙食の開発は、自動車レースの最高峰であるF1のようなものです。つまり、F1で開発された技術がやがて一般の車にも応用されるように、宇宙食開発の技術は、やがて私たちの食卓にのぼる食品に活かされるでしょう。

 実際、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)と呼ばれる総合的な衛生管理システムは、もとはアメリカにおいて、宇宙食の製造における衛生管理方法として開発されたもので、それが今では世界各地の食の生産現場で導入されています。

 もう数十年経ったら、商業的な宇宙旅行も本格的にできるようになるでしょうから、日本人としては是非、宇宙船内食として「宇宙日本食」を食べたいですね。

 

*1:[http://iss.jaxa.jp/spacefood/index.html:title=宇宙航空研究開発機構/宇宙日本食]