読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

少子高齢化による市場縮小にどう対応するか?

 「やっと?」というようなニュースがありました。

しょうゆなどサイズ小さめに 適量・割安で販売増狙う

 しょうゆやドレッシングなどの分野で、従来より容量の少ない製品を発売する動きが食品メーカーに広がっている。少子高齢化などを背景に家族の人数が減り、賞味期限内に使い切れない例が増えていることに対応する。量を減らして価格を抑え、買い物客に値頃感をアピールする狙いもあるようだ。
 キッコーマンは17日から、「特選丸大豆しょうゆ」の750ミリリットルサイズを発売する。これまでの売れ筋は1リットルだったが、1世帯あたりの月平均のしょうゆの購入量は90年の985ミリリットルから07年は662ミリリットルまで減少。昨年春の値上げも影響し、1リットルの売れ行きは微減傾向が続いていた。

 希望小売価格(税抜き)は1リットルが479円なのに対し、750ミリリットルは380円。「適量で、価格が安い。販売増につながれば」(広報)と期待する。


(2009年2月1日21時23分 朝日新聞)

 私が一人暮らししていた時、1リットルのしょうゆを買えば、たいてい半年はなくなりませんでした。しょうゆの場合、冷蔵庫に保存しても数ヶ月を過ぎると独特の酸化臭が出てきて使いにくくなります。もったいないので使っていましたが…。サイズが小さめのしょうゆがいい値ごろ感で売っていればあれば買いたい人は多いでしょう。

 キッコーマンの新サイズのしょうゆは1リットルから750ミリリットルへと容量が25%減少したのに対し、値段は479円から380円へと約20%の減少にとどまっています。容器の値段もあるので正確にはいえませんが、容量が減った分に合わせて、値段が安くなったとは正直いえないでしょう。これまでの商品と比べると、割安感があるという程度です。

 容量が多い商品ほどお得感があるのがこれまでの商品のセオリーでしたが、保存があまりできない商品は結局捨てることになるので、サイズが小さめでなおかつそんなに割高感のない商品は、食品廃棄を減らすという点でも、もっとスポットが当たってもいいでしょう。

 外食も基本的にボリュームが多いので、ご飯を少なめにしてくれてなおかつ値段もその分安くしてくれるところは好きですね。ご飯を残すことに抵抗のある人には嬉しいサービスです。

 少子高齢化社会が進む日本では、市場規模がどんどん縮小していく運命にあります。総人口が減るだけでなく、高齢者に人口がシフトするわけですから、食事の絶対量が減るため、食品産業や外食産業は間違いなく縮小していきます。

 商品を小さめサイズに変更することは、少子高齢化に向けた消費者のニーズに応える点では大変良いことだとは思いますが、その分メーカーの売上高も圧縮されてしまう危険性を抱えています。

 海外売上比率が30%を超えている「外向き」企業のキーコーマンだからこそ、ニーズはあっても利益率の高くない商品を市場に出せるのでしょう。国内売上だけに頼る中小企業であれば、「商品の縮小化」は「利益の縮小化」を招き、自らの首を絞める結果になるのではないでしょうか。

 世界最大の食品企業であるネスレが本社を置くスイスの国内市場は、日本よりもはるかに小さいことを考えると、日本企業は今後いかに海外に打って出るかということがますます重要になってくるでしょう。

 今のところ、世界でも勝負のできる日本の食品企業は、私は数社しか思い付きません。