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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

食物アレルギーを誘発する物質

 最近、食品の裏側に書かれている卵、乳、小麦、そば、落花生などのアレルギー表示に、新たに「えび」と「かに」の表示が新たに義務づけられたことを知っている人はあまり多くはないでしょう。

 日本で現在、アレルギー表示が義務づけられている「特定原材料」7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)の他に、表示を推奨されている「特定原材料に準ずるもの」が18品目(あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)あります*1。お菓子やカップラーメンなどには、この25品目全ての有無が書かれているものを最近よく目にします。

 上のアレルギー物質(アレルゲン)となりうる食品の中で、卵や乳が食物アレルギーを誘発しやすいことを知っている方は多いでしょうが、バナナやりんごでアレルギー症状が起こることはなかなか想像しにくいのではないでしょうか。

 世界のアレルギー表示を見てみると、国連の食料農業機構(FAO)と世界保健機構(WHO)によって設立されたコーデックス(Codex)委員会が食物アレルゲンの表示を規格化しています。それによると、表示対象品目は、1)グルテンを含む穀類及びその製品、2)甲殻類及びその製品、3)卵及び卵製品、4)魚及び魚製品、5)ピーナッツ、大豆及びその製品、6)乳・乳製品(ラクト−スを含むもの、7)木の実及びその製品、8)亜硫酸塩を10 mg/kg以上含む食品 となっており、基本的に各国がコーデックス規格に沿った食物アレルゲン表示をしています。

 食物アレルギーはその国の文化的条件や地理的条件によって大きく影響を受けます。例えば、日本では米とそばに対するアレルギーが子供に多く見られ、北欧では魚に対するアレルギーがよくみられます。また、イスラエルでは子供のゴマに対するアレルギー高頻度にみられ、スペインでは果物(特にもも)に対するアレルギー頻度が高いといわれています。

 日本のアレルゲン表示品目は世界で最も多く、表示の運用面においても世界に先駆けています。日本のアレルゲン表示制度は、世界の中で最も進んでいるといっていいでしょう。

 しかし、先のコーデックスの表示対象品目のうち、1)〜7)は、日本の「特定原材料」と「特定原材料に準ずるもの」に含まれていますが、8)の亜硫酸塩について、日本では表示義務になっていません。

 亜硫酸塩は、他のアレルギー食品と違ってそれ自身はアレルゲンになるわけではなく、アレルギー物質の定義からははずれます。なぜ、コーデックス委員会では亜硫酸塩をアレルギー物質として表示を義務づけているのでしょうか。

 つづく。

 

*1:[http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html:title=厚生労働省:アレルギー物質を含む食品に関する表示について]