夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

食品廃棄の現状

 昨日、食品の食べ残しのことを書きましたが、農林水産省の「食品ロスの削減に向けた検討会」というウェブサイトに、食品廃棄の現状や課題が報告されています。

  • 我が国では、年間約9,000万トンの食品資源が食用に向けられているが、一方で、食品関連事業者及び一般家庭あわせて約1,900万トン(平成17年度)の食品廃棄物を排出している。
  • 食品廃棄物には食品の製造工程から発生する製造副産物や店舗や家庭における調理くずなど食用に供するには不適切なものだけでなく、本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品も相当程度含まれている。
  • これら、いわゆる食品ロスは年間約500万トン〜900万トンと推計され、この量は食用向け食品資源の約5〜10%程度、食品由来の廃棄物の約30%〜50%を占めていると推計される。
  • 我が国の食料の安定供給を確保するためには、国内農林水産業・食品産業の食料供給力強化と併せて、このような実態についても改善することが重要である。

 また、食品ロスの発生につながる諸要因として、食品製造業・食品流通業関連、外食産業関連、消費者関連ごとに問題が述べられています。身近な消費者の問題としては、以下の3点が書かれています。

1.食の大切さに対する意識の薄れ
2.賞味期限の正しい意味の理解が不十分
3.食品の適切な在庫管理や調理方法の工夫が不十分

  • 日常生活において食料が豊富に存在することを当たり前のように受け止め、「もったいない」という、ものを大切にする精神が薄れがちの傾向がある。
  • 賞味期限(おいしく食べることができる期限)の理解が必ずしも十分ではないため、まだ十分食べられるにもかかわらず賞味期限が切れた食品を廃棄する傾向がある。
  • 買い物に行く前に在庫を確認しないことで余分なものを購入したり、食品を冷蔵庫等の奥に仕舞い込んだままにしているうちに期限切れとなり廃棄される場合がある。

 日本の食品ロスの問題について、私はさほど悲観していません。日本は世界でも有数の省エネ大国であり、それは食の分野でも発揮されると思っています。実際、欧米諸国に比べたら、日本の食品ロスはかなり少ないでしょう。英国の食品ロス率は食品廃棄の約60%を占めると先の報告にありました。しかも、日本の食品ロスは年々減っているようです。
 問題なのは、他の先進国、特に消費大国アメリカの食品ロスです。今度、世界全体でどの程度の食品ロス率があるのか調べてみたいと思います。
 食べ物を粗末にすると「もったいないお化け」が出るという昔のテレビCMをふと思い出しましたが、そんな意識が日本人にずっと根付いていて欲しいと思います。