夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

霊長類の食事

 昨日の昆虫料理の記事を見て、以前講義でちょっと話した霊長類の食生活の進化のことを思い出しました。
 私たちの祖先の祖型霊長類は今から六千五百万年前に誕生し、原猿類、新世界ザル、旧世界ザルなどが生まれた後、私達ヒトを含む猿人類が誕生しました。霊長類の祖先の体の大きさは小型で、進化とともに体は次第に大きくなってきました。これには食べ物が大きく関係しています。
 地上で生活する原猿類の主な食事は昆虫です。体の小さな動物はより代謝エネルギーがより必要になるため高栄養食の昆虫が不可欠です。木の上を自由に登れるようになる新世紀ザルが登場すると、木になる美味しい果実を食することができるようになりました。しかし、木の上は鳥類が覇権を握っていたため、体が小さいと自分が捕食される危険性があり、より体を大きくする必要が出てきました。あるものは何でも食べる雑食へと食性を変えることで、体を大きくし、鳥からの恐怖を回避することができました。この何でも食べられることによって行動範囲がぐっと広がり、地球上のあらゆるところに移動し、勢力を拡大して行ったのがわれわれの祖先ホモサピエンスでした。