夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

おせち考3—「おせちはいいから、カレーをね」—

 年末は百貨店などでおせちが例年と比べて、たいぶ売れたとのこと。消費者の「巣ごもり」意識の表れのようです。
 ところで、今、おせちを手作りしている人は、どのぐらいいるのでしょう。煮物と雑煮などは作っている家庭が多いでしょうが、栗きんとん、田作りなどを作っている家庭というのはかなり少数でしょう(私も作ったことはありません)。ましてや、おせち料理をすべて手作りしている世界遺産級の家庭は、この日本に存在するのでしょうか。
 美味しい物を食べ慣れた今の日本人に、伝統的なおせち料理は好まれる味ではないでしょう。以前、読んだ「普通の家族がいちばん怖い—徹底調査! 破滅する日本の食卓」(岩村暢子・著 新潮社)という本には、おせちを食べない家庭が2割程度おり、正月に家族が自分の食べたいものを勝手にたべる“バラバラ食”の現状が描かれています。
 昔、「おせちもいいけど、カレーもね」というCMのコピーがありましたが、今に「おせちはいいから、カレーをね」という家庭が主流になるのかもしれません。

普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓

普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓