夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

食文化

経験によって得られるもの、失われるもの

出張でカナダに来ています。8年前に2年ほど研究留学で生活していた国です。留学以来の渡加です。 あえて昔の馴染みのスーパーで売られているパックの寿司を食べましたが、いろいろな意味で“普通”でした。 以前、海外で安いsushiを食べると、日本の寿司との…

「ターミナル・メシ」で国の食欲を探る

お盆で民族大移動のこの時期、私も昨日は実家に墓参りに行きました。高速の渋滞に見事はまりました。 今、帰省や旅行などで空港や駅にいて、そこで食事を取られている方も多いことでしょう。 空港とくに国際空港内での食事は、その国の現代の食文化を表す象…

料理を“建築”すること 〜料理と建築の共通性〜

「建築家に料理好きが多い」のは、「建築と料理が似ているからだ」というのを耳にしたことがあります。 料理と建築の共通性 シェフの仕事がメニュー、食材の特徴、調理法、器、テーブルセッティング、予算を考えて料理を作るように、建築家もデザイン、材料…

「つぶあんvsこしあん」論争の棚ぼた的解決法

本年度、日本豆類協会という公益財団法人から研究費をいただき、小豆の「餡(あん)」の研究をしています。 「あんの“おいしさ”の分子論的な解析」を行っているのですが、あんの奥深さにハマっています。 (写真:仙台では知る人ぞ知る「さいちのおはぎ」) …

「生きのびる食」@食文化誌ヴェスタvesta

生きのびたい

「ファッションフード、あります。」

「食」の研究をしていますが、日本人ほど食べものに興味がある国民はいないとつくづく感じます。 日本ほど世界中のいろいろ料理が食べられる場所は稀有であり、TVのチャンネルを回せがひっきりなしに食の情報が流され、レストランではいたるところで料理の写…

スペイン人の豚肉へのこだわり 〜生ハムはイスラム教徒への踏み絵!?〜

スペインから帰りしばらく経ちましたが、海外出張の疲れと日本の季節の変わり目も相まってか、1日のうち20時間ぐらい眠い日が続いています。 この週末中に、なんとか通常操業の状態に戻したいものです。 スペインで食べたおいしい料理をアタマで反芻し、…

関西の“だし文化”と“粉もん文化”を合わせ持った最高の料理は何か?

先週、講演や学会などで、関西に行って来ました。 出張時の楽しみは、なんといっても「食」ですね。 関西でひとくくりにするのはやや乱暴かもしれませんが、関西の食文化は、やはり“だし文化”と“粉もん文化”の影響が大きいと感じます。 上品な昆布のうまみと…

仙台 × 夏スイーツ = “ずんだかき氷”

昨日、東北地方と北陸地方に梅雨明けが発表され、ようやく全国的に夏本番の到来となりました。 私の住む仙台での“仙台推し”の食べものに「ずんだ餅(づんだ餅)」という枝豆をベースとしたあんの餅があります。 仙台でも夏日となった今日、よく行く餅屋さん…

対戦相手を“食べて”応援するということ

ワールドカップ(W杯)出場を目指すサッカー日本代表が、ただいまオーストラリアと対戦中。 もちろん、“国民の義務”として応援してますよ。 よく、「対戦相手国の料理を食べて応援」というニュースを目にします。 南アフリカのワールドカップでは、例えば「…

奴隷制度から生まれたブラジルの国民料理

サンパウロで日系ブラジル人の方に街の市場を案内して頂いている時、ブラジルの国民的料理である「フェイジョアーダ」の話になりました。 「地球の歩き方」に次のように載っていたので、私もその料理のことなんとなくは知っていました。 フェイジョアーダ Fe…

世代によって言葉は失われていくが、食文化は生き残る - 日系ブラジル人の話から

今月上旬に行ったブラジルでの国際学会で、学会会場のあるフォス・ド・イグアスに行く前に、飛行機の関係でサンパウロで1泊する必要がありました。 ブラジルというか南米に行くこと自体が今回初めてだったので、安全を考えてサンパウロの空港から泊まるホテ…

「考える人」の考える料理

新潮社の季刊誌「考える人」。最新号の特集が「考える料理」という、私の興味のツボにはまる特集でした。書店で見つけ、“考えずに”レジに持って行きました。 特集の目次を紹介します。 川上弘美さんのもてなし料理 「魯山人の美食」を茄子尽くしで試みる 山…

ソーダ中毒になったそうだ

”ハイボールブーム”以前からうすうす感じていましたが、炭酸飲料の人気が復活しているようです。 炭酸飲料の人気復活 お茶人気一服のなぜ :日本経済新聞 「炭酸の種類が増えているわ」。コンビニエンスストアに入った明日香は飲料の棚を見て驚いた。ローソ…

芋煮会 in 秋保

研究室メンバーで芋煮会をしてきました。場所は仙台市郊外の秋保「木の家」にて。↓”前菜”の焼きそば。麺を蒸しているところ。 ↓メインの芋煮。味付けはもちろん、みそと豚肉の「仙台風芋煮」。 久々の芋煮は実にうまかった! 芋煮会後、みんなで向かいの天守…

鮭の町、新潟村上へ

大学に入学して最初にできた友人S君は、新潟県村上市の出身でした。講義をサボって映画を見ていた私と違って、S君はたいへん真面目で、よく試験前にノートをコピーさせてもらったことを憶えています。 そのS君のアパートに初めて遊びに行ったとき、地元の名…

恵方巻きは、バッドマナーではないのか?

昨日からの続き。 節分でもう一つちょっとイヤな行事があります。最近、全国的に広まった「恵方巻き」です。 太巻き一本を、恵方に向かって無言で一気に念じながらかぶりつかなければならないという「恵方巻きルール」は、マナーが悪く感じます。食べ物をリ…

豆まきは、食べ物を粗末にしていないか?

明日は節分です。小さい頃は、家で必ず「豆まき」をしました。 小さい頃から、古い習慣にいろいろ疑問を抱く子供だったので、「なぜ鬼に豆を投げるのだろう」「鬼は豆をぶつけられたぐらいで本当に逃げるのだろうか」「鬼は金棒を持っているから、豆なんか簡…

おせち料理を食べる予定のない人 - 36%

クリスマスも終わり、今年も残りわずかとなりました。年末で何かと慌ただしい時期です。私はやっと年賀状も書き始めました。 年越しに向けて正月のおせち料理の準備に取りかかっている方も多いのではないでしょうか。ちまたでは料亭の高級おせちの販売予約が…

ブルガリア人が自国のヨーグルトを食べなくなっていたなんて

日本人が「ブルガリア」と聞けば、ほとんどの人がヨーグルトを想像することでしょう。これは、もちろん「明治ブルガリアヨーグルト」の影響が大きいためです。どうして「ブルガリア」なのか、「明治ブルガリアヨーグルト」の誕生にはちょっとした逸話があり…

乾燥食品の歴史

紀元前1万二千年には、エジプトの下ナイルで砂漠の熱砂を利用して魚や鳥肉の乾燥が行われていたことが分かっています。乾燥は効果的な食品の保存法でした。 紀元前1700年頃に最盛期を迎えた古代バビロニアでは、乾燥させて砕いた魚肉をポタージュに割り…

食に関するアンケート調査から見えてくるもの

食に関する面白い調査レポートから(ネットマイル)。 ネットマイルでは食について、2009年2月13日にアンケート調査を実施した。回答者の状況は「男性」「女性」各300名。年代は「10代」「20代」「30代」「40代」「50代」「60代以上」各100名。婚姻状況は「…

宇宙食文化交流

今、世界中で日本食が人気です。それは世界中だけでなく、宇宙でも?のようです。 【日々是宇宙 ISS長期滞在】(2)食事 食文化の融合の場に 宇宙生活の楽しみの一つは食事だ。国際宇宙ステーション(ISS)の飛行士たちは、朝昼晩にロシア居住棟の食…

おせち考3—「おせちはいいから、カレーをね」—

年末は百貨店などでおせちが例年と比べて、たいぶ売れたとのこと。消費者の「巣ごもり」意識の表れのようです。 ところで、今、おせちを手作りしている人は、どのぐらいいるのでしょう。煮物と雑煮などは作っている家庭が多いでしょうが、栗きんとん、田作り…

おせち考2—雑煮パトリオット—

おせち料理の中でも雑煮は、その家庭の独自性が発揮される料理の代表格でしょう。もちは丸餅か角餅か、ダシは何で取るか、醤油ベースか味噌ベースか、具材には何を入れるかなど、家庭ごとにこだわれる部分が満載です。 普段私は、どちらかといえば変わった味…

おせち考1—おせち異文化ミュニケーション—

毎年のことですが、年始におせち料理を食べました。結婚してからというもの、私の実家の福島と妻の実家の新潟を年末年始に行き来するので、二つの家庭のおせち料理を食べる機会が増えました。福島と新潟は隣の県ですが、それぞれの県に特徴的なおせち料理が…