夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

食品開発

「スイーツ×テクノロジー」イベントで感じたこと

BAKEさんとSONYさんとの「スイーツ×テクノロジー」のコラボイベントに審査員として呼んでいただいて、参加しました。 率直な感想は、楽しかったです。ものすごく。 新しい「もの」や「考え方」を、ゼロから立ち上げることはハードルが高いため、やはり異分野…

「なぜ凍結卵は固まるのか」から「次の凍結卵の可能性」まで

昨年からブームとなっている「凍結卵」。だいぶ市民権を得てきた印象を受けます。さらに、凍結卵で「卵黄のお刺身」など新ジャンルの料理の開発も進み、凍結卵の世界はまだまだ大きな広がりを見せそうな勢いです。 もともと、卵黄が固まるゲル化という現象は…

ラーメンの“料理の式”とその式を変形した料理

前回のエントリーの続き。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/02/205518" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/02/205518">料理の見方を変える「料理の式」 - 夜食日記</a> 料理の式の例として、“…

料理の見方を変える「料理の式」

フランスの物理化学者がエルヴィ・ティスが考案した「料理の式」。以下のふたつの要素を組み合わせることで、あらゆる料理が表現できるといっています。 要素その1(食材の状態) G(ガス):気体 W(ウォーター):液体 O(オイル):油脂 S(ソリッド):…

発見はどこから来るかわからない。クラゲとセレンディピティ

多くの人の心の琴線に触れる物語の定番といえば、主人公が「どん底から立ち上がる」という話でしょう。リアルの世界で、そんなストーリーを見させてもらいました。山形県にある鶴岡市立加茂水族館のクラゲにまつわる物語です。 昨日、その加茂水族館に行って…

卵のジャーキーはなぜないのか? “エッグ・ジャーキー”の開発

大学1年生の少人数教育の演習科目で行った、あるお試し実験から。 <イントロダクション> 「ビーフ・ジャーキーはあるのに、なぜエッグ・ジャーキーはないのか?」という卵研究者(私)の永遠の命題!?を解決するために、実際に「エッグ・ジャーキー egg …

23歳が開発した食品の新鮮さを見分ける「生体反応性ラベル」とは?

スーパーで買って冷蔵庫に数日置いてしまった肉を食べようかどうか迷った末、もったいないけど捨ててしまった経験がある方もいることでしょう。 世界全体で人の消費向けに生産された食料のおおよそ3分の1、量にして年間約13億トンが捨てられていると言われ…

「平均のおいしさ」の発見と再現ができる人

セブンイレブンの野菜スティックにつける味噌マヨネーズに、地味にはまっています。仕事中よくポリポリポリポリ食べて、いつの間にか無くなっていることがよくあります。 他のコンビニの野菜スティックも試してみましたが、セブンの味噌マヨのおいしさはちょ…

微妙に変化し続ける老舗の商品

先日、私担当の大学院の講義の中で、ある資料に書かれていた『老舗』という言葉を院生が「ろうほ?」と読んでいて、「“しにせ”って読むんだよ」というやりとりがありました。完全な当て字なので、読みにくい漢字ではあります。 私も20代前半ぐらいまで「手…

コオロギでだしを取る@世界のベストレストラン

6月に入りました。6月といえば、あさって6月4日は、虫の日ですね。 昨年、国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食を推奨する報告書を発表し、多方面で話題となりました*1。 今年に入っても、ハーバード大学の卒業生、女性3名が「コオロギチップス」を考案し*2…

フードペアリング仮説 「“科学的”食材組み合わせ」による新メニューの開発

よく「日本料理は“引き算”の料理、フランス料理は“足し算”の料理」といわれます。 日本料理は、余計な調理を極力省き、素材そのものの味を引き立たせることを優先させるのに対し、フランス料理は、多彩な食材を組み合わせ、深みのあるソースが味のベースにな…

「煮ても硬いタケノコがスプーンですくって食べられる」という技術

おととい、日本食品科学工学会の東北支部主催の市民フォーラムがあり、裏方で手伝いをしたのですが、興味深い話を耳にしてきました。 フォーラムのテーマは「介護食のユニバーサル化」という、高齢化社会に向けた食についてのお話でした。 高齢の方でなくて…

多彩な“食感”を生み出す「トランスグルタミナーゼ」の分子ガストロノミーへの応用

食品のおいしさを増強させる反応に「熟成」があります。味噌や醤油、ワインやウィスキー、食肉や魚肉などを、適切な状態で適切な時間寝かせることによって、「おあずけ」されただけのことはあるおいしさを手に入れることができます。 熟成の反応は、基本的に…

“鉄道食”な本3冊

旅がしたい。 新幹線で“びゅーっと”ではなく、飛行機で“さぁーっと”でもない、電車で“ガタンゴトンと”揺られながらのんびりとした旅がしたい。 目的地をきっちり決めずに「駅弁」片手に電車に乗り込んで、車窓からの景色をぼやーっと眺めながら駅弁のおかず…

あなたに“究極に合う”食を提供する「3Dフードプリンタ」のアナザ・インパクト

3Dプリンタの食品版「3Dフードプリンタ」は、ユニークな形のお菓子が作れるだけではなく、「誰でも、どこでも、食感のある“食事”を自動的に作ることができる」可能性があることを前のブログで書きました*1。 そのため将来、3Dフードプリンタは「究極の調理機…

「テーラーメイド食品」のインパクト 遺伝子で食をオーダーメイド@月刊「事業構想」

「事業構想大学院大学」*1という大学院大学をご存知でしょうか。 昨年2012年4月に、東京・表参道で開学したばかりの、事業アイデア立案から実現までの過程を指す「事業構想」を学ぶ専門職大学院です。 学長の野田一夫さんは、私の現在の所属機関である…

ストレス時、女性は「過食」に、男性は「絶食」に向かう?

今日の大学1年生向けの少人数授業での話をひとつ。 「おいしさと食品開発」というテーマで、全7回の話をしていますが、今日のテーマは「おいしさの心理学」について、以前このブログでも紹介した「味わいの認知科学」という本のあるセクションについてディ…

食品業界は今後どのような新商品を開発すればよいか? - 食産業の進化から考える -

今回参加した国際食品科学技術連合IUFoSTの活動は多岐にわたりますが、そのメインのひとつが、食品研究者と食品技術者の教育でしょう。 日本の学術学会ではあまり見かけないのですが、このIUFoSTの国際学会World Congressでは、教育関係のプログラムが数多く…

「食は人なり」?それとも「人は食なり」?

前回のつづき。 前のブログでは、食べものの持つステレオタイプで、それを食べた人の「女性らしさ、男性らしさ」や「パーソナリティ」などが判断される「食は人となり仮説」を紹介しました。 プランスの有名な美食家、ブリア・サヴァランの著書「美味礼賛」…

「女性的食品」と「男性的食品」

先日の大学院講義「食品開発学特論」で、院生たちとディスカッションしたネタをひとつ。 いきなりですが、ある人の一日の食事メニューを下に示します。 朝食 クリームチーズベーグル 1個 オレンジジュース 1杯 コーヒー 1杯 昼食 ツナとレタスのサンドウ…

第5回『大学は美味しい!!』フェア 宮城大学 食産業学部からも初出展!!!

今日、大学の研究室ポストにこのようなパンフレットが入っていました。 新宿高島屋で開催される第5回『大学は美味しい!!』*1のパンフです。大学発の「食」フェアとあって、大学ノートをモチーフにした、味のあるパンフレットです。 宮城大学食産業学部のホー…

はちみつジャムを食べながら考える「大学ブランド食品」の役割

先週、玉川大学の知り合いの先生から突然荷物が届きました。 開けてみると、こんな商品が! まず、「はちみつカレー」と「はちみつハヤシ」、それぞれ2食分。 はちみつハヤシには、はちみつが2%も! 裏のラベルには、「監修:玉川大学農学部生産加工室」…

「単調な食事を続けていると食欲がなくなる」のはなぜか?

以前にこのブログで話題にした「味わいの認知科学」*1という本の感想を一つ。 「食における“味わい”とはなにか?」について、分子生物学と実験心理学を専門とするお二方によって編集されたこの本。 読んでみて実におもしろい。読み進めていくうちに、線がが…

外部講師による「食品開発学特論」で思ったこと

ちょうど2ヶ月も前のことですが、前もブログ*1に書いた大学院講義「食品開発学特論」の最終回に外部講師をお呼びし、講義して頂きました。 講師は、今私が共同研究をさせて頂いているキユーピー株式会社研究所上級研究員の半田明弘さんです。 せっかく来て…

「食品開発学特論」を講義して思ったこと

今日もローソンで買ってしまった宮城大学食産業学部フードビジネス学科の学生たちが開発した「塩チョコスティックケーキ」。 最近、2日に1個のペースで食べています。塩チョコの虜になってしまったのか、なかなか飽きませんね。 東北限定なので東北地方の…

宮城大学食産業学部共同開発「塩チョコステックケーキ」本日発売開始!

宮城大学食産業学部とローソンとの共同開発商品「塩チョコステックケーキ」*1が本日より発売開始となりました。さっそく今朝、出勤前にローソンによって買ってきました。 開けるとこんな感じです。 トップに金粉が載っていて実に「伊達」です。食べると程良…

宮城大学 × LAWSON スイーツプロジェクト

わが宮城大学食産業学部フードビジネス学科の学生たちが考案した「塩チョコスティック」が、9月6日(火)より、東北地方のローソンにて発売されます。 フードビジネス学科教授の三石誠司先生の指導のもと、今年の1月からプロジェクトが始動し、書類審査、…