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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

「遺伝子検査」とセットで“販売”しなければならないもの

DHCさんの「遺伝子検査 ダイエット対策キット」を実際に試してみました。 ほおの内側の口腔粘膜を送ってから数週間後、「肥満関連遺伝子 検査結果報告書」が届きました。 「肥満関連遺伝子」って何? 肥満関連遺伝子として一番有名なのは、脂肪の分解や燃焼…

山中教授の「iPS細胞」から考える「食事療法の将来」

山中伸弥教授が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発に関するノーベル医学生理学賞を受賞して、はや1ヶ月弱が経ちました。 ヒートアップしていた報道がだいぶ落ち着いたようですので、“食品研究者的”に思うところを書いてみたいと思います。 以前、再生医療に…

「オトナの研究者」が「オトナの食品」を食べる時

10月も、はや最終週となりました。今月、Twitterの「ツイートまとめ(はてなブックマーク経由)」の記事はありましたが、今月最初のブログです。 10月から大学の後期がスタートし、大学祭など、もろもろのイベントが目白押しでした。山中教授のノーベル…

ヘストン・ブルメンタールの「料理と科学」 科学実験好きな料理人

科学的な調理法を使う料理人として、「エル・ブリ」のフェラン・アドリアと同様に有名なのが、ヘストン・ブルメンタールでしょう。 ヘストン・ブルメンタールはイギリス生まれで、ロンドン西部のバークシャーにあるレストラン「ファット・ダック」のシェフで…

エルヴェ・ティスの「料理と科学」 料理が好き過ぎた物理化学者

エルヴェ・ティスは、パリにあるフランス国立農業研究所の研究者で、調理のプロセスにおける物理化学的な研究で知られています。 私が、彼を初めて知ったのは、『フランス料理の「なぜ」に答える』という本でした。 ティスが著者であるその本の帯には、 料理…

フェラン・アドリアの「料理と科学」 “斬新”を作るための“科学的”技術

私は、 料理(Cooking) 科学(Science) 芸術(Art) の“3つ輪”が交わる「融合領域」に強い関心があります。 スペインのシェフ、フェラン・アドリアの料理は、そのうち「料理」と「芸術」の2つの輪が大きく重なって見えます。しかし、「科学」の“輪っか”…

「料理と科学」を考える上での3人

料理と科学の「接近」を考える上で、以下の3人から考えてみたいと思います。 フェラン・アドリア エルヴェ・ティス ヘストン・ブルメンタール フェラン・アドリア Ferran Adriàは、スペインのレストラン「エル・ブジ El Bulli」のシェフ。 エルヴェ・ティス…

サイエンス&カルチャー地域住民セミナー 健康を支える食生活の「安心・安全」

宮城大学地域連携センターでは、地域の方と一緒に食生活の安心・安全について考える地域住民セミナーを今年8月から隔週土曜日(全8回)で開催しています。 講師は宮城大学の食産業学部の先生で、昨日の第4回目を私が担当しました。 ・セミナープログラム …

虫の眼、鳥の眼、亀の眼、カメレオンの眼

私はふだん眼鏡をかけているのですが、その眼鏡の鼻あての部分が壊れてしまい、先日、新調しました。今の眼鏡は、軽量化が進んでいますね。掛け心地がとてもいいです。 眼鏡を変えてもあまり気付かれないことに、一抹のさみしさを感じる今日この頃です。 と…

IUFoST 第16回食品科学技術世界会議@ブラジル

国際食品科学技術連合(International Union of Food Science and Technology、略称IUFoST)という食品科学と食品技術に関する世界的な科学機関があります。70カ国以上から20万人以上の食品科学者や食品技術者を代表する非営利団体です。 IUFoSTは、2年おき…

「宇宙料理学」「宇宙調理学」の登場!?

TIME.comで見た「宇宙食」に関するニュース*1で思ったことをひとつ。 (TIME.comより) 人類の宇宙への夢は、尽きないものです。今、もっとも期待度の大きい宇宙分野の夢は、やはり「火星有人探査計画」でしょう。 火星への有人探査には、2、3年必要とされ…

「“ゼリー”カップヌードルライト」いざ、実食!

前回からのつづき。 プッチンプリン、ならぬ「プッチンラーメン」をいただくことに。 ナイフとフォークで中心から切り、その縦断面を見てみると、 おぉ、まるで、“テリーヌ”のよう! 期待度がますます高まり、プルプルと黄金色に輝く「カップヌードルテリー…

大学院のパンフレット

1ヶ月ぐらい前のことですが、来年度2013年度の学部と大学院の入学希望者用のパンフレットが完成していました。 今回、大学院用のパンフレットを紹介します。 宮城大学のパンフレットでは、毎年、学生が表紙デザインをするのが恒例となっています。今回の表…

「食とニューロ・マーケティング ~文理融合の新領域~」

本日の午後、勤務先の大学で外部講師による講演がありました。学内に、その案内のポスターが以前から貼ってありました。 講演は、私と同じフードビジネス学科の都先生の「食品マーケティング戦略演習II」の講義の一環として行われ、授業を取っていない学生・…

「そば粉製品≒めんのそば」なのはなぜか?

前のブログで『一日三食そばでもいい「そば喰い」にとって、…』と書きましたが*1、そば好きの多くは、「麺の蕎麦“切りそば”が好き」という意味であって、決して「そば粉をお湯で練った“そばがき”が好き」というわけではないでしょう。 先日、私が担当してい…

第5回『大学は美味しい!!』フェア 宮城大学 食産業学部からも初出展!!!

今日、大学の研究室ポストにこのようなパンフレットが入っていました。 新宿高島屋で開催される第5回『大学は美味しい!!』*1のパンフです。大学発の「食」フェアとあって、大学ノートをモチーフにした、味のあるパンフレットです。 宮城大学食産業学部のホー…

模擬講義「たまご学入門」@宮城大学食産業学部オープンキャンパス

事前に告知すべきでしたが、本日、勤務先の宮城大学食産業学部でオープンキャンパスが開かれました。 例年、7月に第1回目のオープンキャンパスを開催するのが常でしたが、本年度は大学・学部としても初めてこの5月にオープンキャンパスの初回が開かれまし…

「インテリジェント・コスモス奨励賞」を受賞しました

財団法人インテリジェント・コスモス学術振興財団様から「第11回 インテリジェント・コスモス奨励賞」を受賞させていただくことになり、本日、ホテルメトロポリタン仙台での授与式に出席しました。 理事長の西澤潤一先生から、じきじきに盾を頂戴いたしま…

「どうして海外のたまごの黄身の色は薄いんですか?」

先日、学生と話をしていた時に、出てきた話題。 「せんせー、私、春休みにカナダに短期留学したんですけど、向こうの卵の黄身の色が薄くて驚きました。あれ、なんでですか?」 私もカナダに研究留学していたので、よくその色がわかりますが、黄色がとても“う…

はちみつジャムを食べながら考える「大学ブランド食品」の役割

先週、玉川大学の知り合いの先生から突然荷物が届きました。 開けてみると、こんな商品が! まず、「はちみつカレー」と「はちみつハヤシ」、それぞれ2食分。 はちみつハヤシには、はちみつが2%も! 裏のラベルには、「監修:玉川大学農学部生産加工室」…

「単調な食事を続けていると食欲がなくなる」のはなぜか?

以前にこのブログで話題にした「味わいの認知科学」*1という本の感想を一つ。 「食における“味わい”とはなにか?」について、分子生物学と実験心理学を専門とするお二方によって編集されたこの本。 読んでみて実におもしろい。読み進めていくうちに、線がが…

料理を“ワッフル化”する 〜エピローグ〜

前回のつづき。 プロローグで始まった「料理を“ワッフル化”する」の一連のブログ。このエピローグで締めたいと思います。 電気店に残された「たこ焼き器」 3.11東日本大震災で被災し、ライフラインが断たれた後の話から。 ライフライン途絶後、私の家は電気…

飯島記念食品科学振興財団贈呈式

今朝、新幹線で仙台から東京、そして千葉県市川市へ。 市川にある財団法人飯島記念食品科学振興財団様の平成23年度学術研究助成金贈呈式に出席してきました。 飯島記念食品科学振興財団は、山崎製パン株式会社創業者飯島藤十郎様が主たる基本財産を出捐し、…

「京料理の挑戦:農芸化学とガストロノミーの融合」で思ったこと

年度末、京都と名古屋での学会をはしごし、仙台に昨日戻ってきました。私の研究室所属の院生と学部学生の口頭発表デビューがありました。いい経験になったことでしょう。 私もいろいろ「インプット」に励んだ学会シーズンでした。その中で、興味深かった京都…

食と放射性物質の問題 〜科学者のスタンスとは〜

福島原発事故によって、「信頼」が大きく低下したのは、東電、そして原発の御用学者たちでしょう。3.11後、私も科学者の一人として、原発事故や放射性物質に対して、社会における「科学者のスタンス」を再認識しています。 一般の方が、原発問題で今一番気に…

トマトブーム?@将棋世界

最近の食品系のトップニュースといえば、「トマトの成分が中性脂肪を減らす」という研究報告*1があったことでしょう。 トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見:効果を肥満マウスで確認 2012年2月10日 河田照雄 農学研究科教授(生理化学…

ウコンの“赤い”力 〜ある食品研究者の夕食から〜

ウコン(ターメリック)を用意します。 薬包紙の載せ、まずその色をよーく観察します。 黄色(からし色)です。 1品目 ターメリックを皿に移し、田楽用のこんにゃくと並べ、何かが起こりそうな淡い期待感を抱きます。 ターメリックをこんにゃくに、“これで…

「2つの山」を超えて

2月16日(木)、17日(金)と所属学科の卒論発表会が行われました。私の研究室では以下の卒論テーマで6名が発表を行いました。 卵製品の品質・機能向上を目的とした鶏卵卵白のプロテオーム解析によるマーカー探索 保存食・非常食としての「ガラス化卵…

食と放射性物質の問題 〜何を信じたらいいのかわからない世の中で、唯一“はっきり”言えること〜

食と放射性物質の問題に関しては、「政府が放射性物質に関する情報を隠しているかもしれない」という不安を抱いている方が多いのではないかと思います。 食品は自分の体の中に入れるものですから、「信頼」が不可欠です。食品中の放射性セシウムの規制値が20…

「食品“伝道者”の夜食日記」に

今年ももう少しで終わってしまします。この「夜食日記」で書きたいことは山ほどありましたが、タイムアップです。 今年は、震災によって、水や食べ物の大切さを頭だけではなく身体で感じる得がたい経験をしました。それと同時に、私は普段大学で「食」を研究…

肥満なのは調理された食べ物を食べているから? ー体重の増加は食品の調理方法に依存するという研究からー

食べ物は体の“燃料”ですが、 「その燃料のエネルギー量は、食べ物に含まれる“カロリー”だけではなく、その“調理方法”にも関係している」という研究が11/7の米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)のオンライン版に掲載…

角館高校での模擬講義にて

先々月、秋田県立角館高等学校から所属学部へ模擬講義の依頼があり、私にお話が回ってきました。文化の日の前日の11/2がその出前授業の日で、朝7時頃に仙台の自宅から車で角館へと向かいました。 寒暖差の激しい秋の朝のため、東北自動車道を走っている間は…

くるみが脳の力を高める“ブレインフード”?

以前、このブログで脳を活性化する”食”、すなわち「ブレインフード」*1に関する記事を書きました。 その時、ブレインフードをイメージしやすいように、脳の形に似た「くるみ」の写真↓を挿絵に何気なく使いましたが、今日偶然にも「そのくるみがサイエンス的…

外部講師による「食品開発学特論」で思ったこと

ちょうど2ヶ月も前のことですが、前もブログ*1に書いた大学院講義「食品開発学特論」の最終回に外部講師をお呼びし、講義して頂きました。 講師は、今私が共同研究をさせて頂いているキユーピー株式会社研究所上級研究員の半田明弘さんです。 せっかく来て…

日本食品科学工学会@仙台

第58回の日本食品科学工学会が、9/9(金)〜9/11(日)に仙台の東北大学川内北キャンパスで行われました。 なか日の10日(土)に行われた第3回研究小集会の卵の部会で、講演させていただく機会をいただきました。 今、私の研究室のメインテーマの一つである…

科学者が明らかにした「完ぺきなトーストを焼く方法」

10月号のクーリエ・ジャポンで「おいしいトーストを焼く方程式の大発見」という小さい記事を発見。私にとってかなりツボの記事です。 元ネタはUKのデイリー・エキスプレスの記事から*1。 イギリスのパンメーカー「フォーゲル Vogel」に依頼された研究チーム…

究極の宝探し 〜ウナギの産卵場所の発見@鰻博覧会〜

本日は土用の丑の日。今晩、鰻の蒲焼を召し上がった方も多いのではないでしょうか。 今月、こんなニュースを目にしていました。 産卵場所解明へ…マリアナ海嶺でウナギの卵採取 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) 東京大学大気海洋研究所などの研究グルー…

これからの「ミルク」の話をしよう ― いまを生き延びるための“乳”学

今、首都圏や東北などの東日本のスーパーやコンビニでは、牛乳や乳製品が不足しているところが多いようです。私も久しくヨーグルトというものにお目にかかっていません。 牛乳主要メーカーの各工場が計画停電で十分に稼働できないこと、飲料用の紙パック製造…

食の安全を「グラデーション信号機」で考えよう

今日、野菜などから検出される放射性物質の上限を定めた食品衛生法に基づく「暫定規制値」を、厚生労働省は、問題ないと判断しました。 自治体からの規制値緩和の要望や、それとは反対の消費者団体の意見などもありましたので、このようなニュースを見ると、…

「甘いものでほっとする」の科学

今日のasahi.comのニュースから*1。 甘いものでほっとして 被災地に焼き菓子177箱送る 東日本大震災の被災者らに「甘いものでほっとして欲しい」と、神戸や大阪、京都、北海道などの菓子店16店が28日、クッキーやマドレーヌなど日持ちする焼き菓子計…

科学者の「主観と客観」〜“イカ”や“卵”になりきれるか〜

私が大学院生の時に、タイトルは覚えていませんが、当時活躍していた科学者たちを紹介している本がありました。かれこれ、15年以上も前の話です。その本の中で、ある科学者が言っていたことがいまだに私の心に残っています。 その科学者は、神経細胞を使っ…

「食」の問題に、文系、理系の区別なんて関係ない!

昨年の4月に、今勤務している「宮城大学 食産業学部 フードビジネス学科」に異動してきて、はや1年が経ちました。 新しい環境に身を置き、これまでに経験したことのないフレッシュな体験をいろいろとしました。1年を通してみて、宮城大の食産業学部は、私…

朝日新聞「料理と科学が出会う時」を科学者が読んだ感想

一昨日の3月7日、朝日新聞グローブの第59号に「料理と科学が出会う時」という特集記事がありました。記事は、Web版でも一部ご覧になれます*1。 目次は次のようなものです。 [米国・マサチューセッツ州]黒いエプロンには、数式があしらわれていた [ス…

リビングカレッジ

仙台リビング新聞社が出版している、女性のための生活情報マガジン「仙台リビング」。ミセスを対象に、仙台圏の暮らしに役立つ生活情報を発信するフリーペーパーです。 その最新号の「02月26日号」の表紙がこちら。↓ Webでも全記事、無料で読めます。Web版は…

料理を分子レベルで調べたい理由 −知的好奇心を揺さぶりたい−

これまで*1、*2、*3の続き。 カナダに研究留学中、ある一人の日本人学生と出会いました。日本の高校を卒業した後、カナダの大学に入学した「スミタニ君」という、環境学を学んでいる男子学生でした。 留学先の街の規模は小さくて、いかにも北米の田舎にある…

本年度の研究室ゼミナールが終了

研究室の4年生および仮配属の3年生とで行っていた本年度の研究室ゼミが、昨日で終了しました。 ゼミは、PowerPointを使ったプレゼンテーションで、テーマは一回目は課題指定、二回目は英語論文の紹介でした。発表時間はどちらも約10分としています。 発…

料理を分子レベルで調べたい理由 −食の流れの中で−

前々回*1、前回*2の続き。 今から約11年前、大学院時代の「生体物理化学」という研究室から、「食品科学」という研究室の教員になりました。 ちょうど、食の研究分野では、食品そのものを研究するよりも、その機能性、特に「生体調節機能」に関する研究が…

料理を分子レベルで調べたい理由 −アイスクリーム作りでわかったこと−

昨日*1の続き。 学生時代、料理が好きだったのと、貧乏だったので、毎晩家でご飯を作っていました。さらに、お菓子作りが趣味な同級生に触発され、週末、家でケーキやパンなども作るようになりました。 お菓子を作ってみると、基本レシピ通りにすれば、それ…

料理を分子レベルで調べたい理由 −料理は化学実験−

私の出身学部は、農学部です。その男女構成は、同じ理系の工学部ほどではなかったですが、7:3ぐらいで男子学生の方が多かった気がします。 自分の大学時代、そして自分が理系の学部の大学教員になってから、お菓子作りが趣味の理系男子学生に結構な数遭遇し…

人はなぜ二日酔いになるのか?

年末年始、お酒の飲み過ぎで「二日酔い」になった人もきっと多いことでしょう。 昨年の大晦日に、その二日酔いに関するちょっと面白い論文が出ました。それが、こちら↓。 Acetate Causes Alcohol Hangover Headache in RatsMaxwell CR, Spangenberg RJ, Hoek…