夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

食の未来

「新しい食」を知るための視点

美術手帖の10月号の特集が「新しい食」でしたので、おもわず脊髄反射的に購入しました。 美術手帖2017年10月号 作者: 美術手帖編集部 出版社/メーカー: 美術出版社 発売日: 2017/09/16 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 料理の美しさに感動するこ…

“自販機化”する料理

前回の続き。 昔の未来予想やアニメそしてSFには、「人型ロボット」が登場します。家事ロボット、運転手ロボット、執事ロボット、警官ロボット、殺人ロボット等々。 私たちが生きる現実の世界にも、ソニーの「AIBO」、ホンダの「ASIMO」、ソフトバンクの「Pe…

TOKYO FM「未来授業」に出演しました

先週、TOKYO FM「未来授業」の講師を務めた回がオンエアされました。 「分子調理」や「食の未来」について話しています。Podcastで聴けるようです。 Podcast聴きましたが、われながら、眠くなる声だなと思いました。 ご興味のある方は、睡眠学習にどうぞ。

「今を生きる」人こそ、未来を考えよう

機械化や人工知能の進歩によって、近い将来「消える仕事、食えなくなる仕事」などをよく耳にするようになりました。 現在、働いている人は今の職業、学生などはこれから就く職業が、未来永劫安泰だと思っている人はおそらく少ないでしょう。今後、多くの人が…

未来を思う原動力とは? 〜「食」への不安と期待〜

最近、「未来」に関する書籍やTV番組などが多いように感じます。私が興味あるので、ただ目に留まるだけなのかもしれませんが…。 現代の未来への社会的関心は、世界のグローバル化の行方、人の予想を超えた新デジタル・新テクノロジーの登場、異常気象による…

絶望と希望と願望と宿命―4年目の3.11に思うこと

東日本大震災から4年。3.11後の混乱期に大学に入学してきた新入生が、来週卒業式を迎えます。あの年の講義開始は1ヶ月遅れ、入学式は約半年後の9月末でした。 絶望と希望は表と裏 人が絶望の淵に立たされた時、そこから生きていくためには、希望が必要…

新印象派の科学への接近と解放―総合芸術としての料理の未来

先日、東京都美術館で行われている「新印象派―光と色のドラマ Neo-Impressionism, from Light to Color」を観ました。 新印象派 光と色のドラマ 見どころより一部抜粋。 印象派は、揺れる水面や陽光のうつろいなど、自らの目に映る世界を描き出そうとし、そ…

食の未来を考える意味

年のはじめは、新しい一年の目標やその先の「未来」を考えるのにいいタイミングです。将来や未来予測に関するTV番組やWebの記事もよく目にします。 人はこれまでさまざまな未来を想像してきました。突拍子もない空想レベルのものから、データに基づいた社会…

箸やフォークはここまで来た! カトラリーに迫るハイテク化の流れ

「メガネ」や「腕時計」のウェアラブルコンピュータ化が進んでいますが、「食」の分野でも、さまざまなハイテク化を目にするようになりました。 料理を口に運ぶ箸やフォークなどのカトラリーに忍び寄る「高機能化」の例を3つピックアップします。 食事のス…

メルト化する世界、モザイク化する世界

IUFoST(International Union of Food Science & Technology)という食品科学技術に関する国際学会に出席するため、カナダのモントリオールに来ています。専門知識の波を浴び、普段働かない脳の部分が活性化している気がします。 専門が融合する 食品学と栄…

コオロギでだしを取る@世界のベストレストラン

6月に入りました。6月といえば、あさって6月4日は、虫の日ですね。 昨年、国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食を推奨する報告書を発表し、多方面で話題となりました*1。 今年に入っても、ハーバード大学の卒業生、女性3名が「コオロギチップス」を考案し*2…

「ヒトの肉を培養して食べる」ということ

見つけてから1ヶ月以上、ずっとモヤモヤしていたニュース。 WIRED.jpから(抜粋)。 恐竜もセレブも、人造肉にして食べてしまうレシピ:ギャラリー 透明な肉や、セレブの幹細胞を培養した肉など、培養された人造肉の可能性を追求する「レシピ本」を紹介。 …

分子ガストロノミーは死んだ!?  その発展を阻んだものとは?

先日ご紹介した「料理と科学のおいしい出会い: 分子調理が食の常識を変える」という本の説明がごちら。 内容説明 近年、物理学、化学、生物学、工学の知識を調理のプロセスに取り込み、これまでにない新しい料理を創造しようとする「分子調理」が注目されて…

「料理と科学のおいしい出会い」という本が出ます。

自然科学分野の書籍を発行している化学同人さんから「料理と科学のおいしい出会い: 分子調理が食の常識を変える」という本が出ることになりました。 化学同人さんのサイトでもこれから出る本として掲載されています。 表紙は、これからです。 料理と科学のお…

フードペアリング仮説 「“科学的”食材組み合わせ」による新メニューの開発

よく「日本料理は“引き算”の料理、フランス料理は“足し算”の料理」といわれます。 日本料理は、余計な調理を極力省き、素材そのものの味を引き立たせることを優先させるのに対し、フランス料理は、多彩な食材を組み合わせ、深みのあるソースが味のベースにな…

「煮ても硬いタケノコがスプーンですくって食べられる」という技術

おととい、日本食品科学工学会の東北支部主催の市民フォーラムがあり、裏方で手伝いをしたのですが、興味深い話を耳にしてきました。 フォーラムのテーマは「介護食のユニバーサル化」という、高齢化社会に向けた食についてのお話でした。 高齢の方でなくて…

「“試験管培養肉”ハンバーガー」の登場は、“食料生産新時代”の幕開けか?

先月はじめ、試験管でウシの細胞を培養してつくられた“試験管培養牛肉”を使ったビーフバーガーが調理、試食されるというニュースがありました。 (画像:CNN.co.jpより) オランダのマーストリヒト大学の生理学者マルク・ポスト教授らが、ウシの幹細胞を培養…

あなたに“究極に合う”食を提供する「3Dフードプリンタ」のアナザ・インパクト

3Dプリンタの食品版「3Dフードプリンタ」は、ユニークな形のお菓子が作れるだけではなく、「誰でも、どこでも、食感のある“食事”を自動的に作ることができる」可能性があることを前のブログで書きました*1。 そのため将来、3Dフードプリンタは「究極の調理機…

ユニークな形のお菓子が作れるだけじゃない「3Dフードプリンタ」の真のインパクト

最近、何かと注目を集めている「3Dプリンタ」ですが、「食」の分野でもその利用が模索されています。 現在でも食品業界では、可食インクを使ったインクジェットプリンタが、ケーキやクッキーの表面に“2D”のイラストや似顔絵を描かれることに使われていますが…

「テーラーメイド食品」のインパクト 遺伝子で食をオーダーメイド@月刊「事業構想」

「事業構想大学院大学」*1という大学院大学をご存知でしょうか。 昨年2012年4月に、東京・表参道で開学したばかりの、事業アイデア立案から実現までの過程を指す「事業構想」を学ぶ専門職大学院です。 学長の野田一夫さんは、私の現在の所属機関である…

「食」の20年度、30年後の未来予想

今年もあっという間に「仕事納め」の12月28日。“おさまっていない”仕事が多々ありますが、いちおう「ひと区切り」の日となりました。 年末年始は、「これまでの1年」そして「これからの1年」を考えるきっかけを与えてくれる時期です。 2012年。私は、初め…

未来の料理の行方

先週、私の誕生日で、大変ありがたいことに、研究室のラボメンバーに手作りの「卵型のケーキ」とプレゼントを頂きました。 「ケーキが卵型」なのは、私の専門が「卵の科学」だからです。2日がかりの力作だったそうで、「卵黄」部分のカスタードと生地の層が…

食品業界は今後どのような新商品を開発すればよいか? - 食産業の進化から考える -

今回参加した国際食品科学技術連合IUFoSTの活動は多岐にわたりますが、そのメインのひとつが、食品研究者と食品技術者の教育でしょう。 日本の学術学会ではあまり見かけないのですが、このIUFoSTの国際学会World Congressでは、教育関係のプログラムが数多く…

「昆虫食」実践!@基礎ゼミ

このブログで何度も出てきていますが、所属大学の初年次教育に「基礎ゼミ」という、週1回、各教員のもとで行う少人数教育があります。 先月、その基礎ゼミが終わりましたが、今年は女性4名、男性1名の配属でした。 基礎ゼミの初回で、「最近読んだ印象的…

「宇宙料理学」「宇宙調理学」の登場!?

TIME.comで見た「宇宙食」に関するニュース*1で思ったことをひとつ。 (TIME.comより) 人類の宇宙への夢は、尽きないものです。今、もっとも期待度の大きい宇宙分野の夢は、やはり「火星有人探査計画」でしょう。 火星への有人探査には、2、3年必要とされ…

仙台白百合学園高等学校 土曜講座

昨日、仙台白百合学園高等学校に行ってきました。 仙台白百合高校は、仙台市泉区の紫山というところにあり、宮城大学の大和キャンパスのお隣にあります。高大連携の一環として、白百合高校が行っている「土曜講座」に宮城大学の各学部(食産業学部、看護学部…

宇宙で「すし」パーティー

現在、宇宙にいる野口聡一さんは、Twitterで宇宙での生活の様子を“つぶやく”とのことで実に楽しみですが、私個人的にはこちらの方が断然気になります。↓ 三つ星級のロシア宇宙食、野口さん「スープおいしい」 【バイコヌール(カザフスタン)=緒方賢一】宇…

“ねこまんま”の次にくるブームは?

最近ちょっとしたブームの”ねこまんま”。「おとなのねこまんま」という本が10万部近く売れているようです。数年前の”たまごかけごはん”ブーム、さらには金融危機による内食への回帰もあり、今後も超簡単料理ブームがしばらく続くことでしょう。そこで、“ポ…

宇宙食文化交流

今、世界中で日本食が人気です。それは世界中だけでなく、宇宙でも?のようです。 【日々是宇宙 ISS長期滞在】(2)食事 食文化の融合の場に 宇宙生活の楽しみの一つは食事だ。国際宇宙ステーション(ISS)の飛行士たちは、朝昼晩にロシア居住棟の食…

宇宙食ブームの到来?

最近,宇宙食に関するニュースを2つ見かけました。 “宇宙ビール”はどんな味?…サッポロビールで試飲会 国際宇宙ステーションで保管した大麦種子の子孫を原料にしたビール「サッポロ スペース バーレイ」の試飲会が、千葉県船橋市高瀬町のサッポロビール千葉…