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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

人類史上、最も偉大な“食の発明”とは何か?

ちょうど一年前ぐらいに、英国の王立協会が発表したニュースから食の話題をひとつ。 わたしたち人類の歴史を振り返れば、ほとんど“飢え”との戦いの歴史でした。有史以来、「今日、食べることができるか?」が人の関心の中心にあったことでしょう。 現代の人…

サイエンス&カルチャー地域住民セミナー 健康を支える食生活の「安心・安全」

宮城大学地域連携センターでは、地域の方と一緒に食生活の安心・安全について考える地域住民セミナーを今年8月から隔週土曜日(全8回)で開催しています。 講師は宮城大学の食産業学部の先生で、昨日の第4回目を私が担当しました。 ・セミナープログラム …

食と放射性物質の問題 〜科学者のスタンスとは〜

福島原発事故によって、「信頼」が大きく低下したのは、東電、そして原発の御用学者たちでしょう。3.11後、私も科学者の一人として、原発事故や放射性物質に対して、社会における「科学者のスタンス」を再認識しています。 一般の方が、原発問題で今一番気に…

食と放射性物質の問題 〜何を信じたらいいのかわからない世の中で、唯一“はっきり”言えること〜

食と放射性物質の問題に関しては、「政府が放射性物質に関する情報を隠しているかもしれない」という不安を抱いている方が多いのではないかと思います。 食品は自分の体の中に入れるものですから、「信頼」が不可欠です。食品中の放射性セシウムの規制値が20…

野菜と米と牛と花と

お盆に実家の福島に帰りました。 そこに住む母と祖母、近くに住む姉と話したことは、原発による放射能汚染に関することがほとんどでした。福島県民のほどんどの方がそうでしょうが、見えない放射能におびえながら暮らしていることが実の家族との会話からより…

食の安全を「グラデーション信号機」で考えよう

今日、野菜などから検出される放射性物質の上限を定めた食品衛生法に基づく「暫定規制値」を、厚生労働省は、問題ないと判断しました。 自治体からの規制値緩和の要望や、それとは反対の消費者団体の意見などもありましたので、このようなニュースを見ると、…

今の日本は、原発事故による風評被害の“被害者”にも“加害者”にもなりうるという現状の中で

今、原発事故による風評被害は、国内と国外の「二重構造」になっています。つまり、世界的にみると、日本は海外の国から風評被害にさらされ、国内をみると、福島原発近くの住民はその他の日本の地域の方からの風評被害にさらされています。今後、今すでにそ…

私たちは「福島県産の牛乳、茨城県産のほうれん草」を食べることができるか

皆さんの、福島県のイメージはどのようなもの“だった”でしょうか?高校卒業まで福島で育った私はよく知っています。非常に影が薄い県であったということを。今は、原発事故という最悪な形で、私のふるさとが世界中で有名になってしまいました。私の福島県人…

なぜ、変わったものが食べたくなるのか

同じようなものを食べ続けていると「たまにはちょっと変わったものが食べたいな」と思うものです。私の場合、エスニック系などです。 栄養学的な観点から考えると、同じものを食べ続けることによる栄養の偏りを避ける「リスク回避」のように感じます。 もち…

理性や理屈だけでご飯が食べられるか?

この記事に、コメント、☆やブックマークなどを付けて頂いた方、誠にありがとうございました。 1年以上も前の記事に?という感は否めないですが、いろいろなご意見を大変興味深く拝見しました。 「量」の概念については、きちんと粘り強く説明すれば、ほとん…

食育講演会

昨日、太白区中央市民センターにおいて「食育」に関する講演会を行ないました。宮城大学 食産業学部と、食産業学部がある仙台市太白区の中央市民センターとの共催事業です。 事前に、宮城大学の事業構想学部の学生に、講演用のポスターも作製してもらいまし…

食情報とフードファディズム

昨日、仙台のアエルで行われた北日本くみあい飼料株式会社様の養鶏セミナーで、群馬大学教育学部の高橋久仁子先生によるご講演があったので聴きに行ってきました。 高橋先生は、私が以前から拝読していた講談社ブルーバックスの『「食べもの情報」ウソ・ホン…

”低残留農薬”の農産物はより安全?

ある方から電話で以下のような相談をされました。 「作っている農産物の残留農薬を測ってもらえないか。おそらく少ないはずだから、”低残留農薬”ということをPRして、その農産物の販売を伸ばしたい」というような趣旨でした。 いろいろ突っ込みたくなる衝動…

食品の品質管理とゴールキーパー

生のスポーツ観戦が好きです。カナダ留学中は、よく野球(MLB)、バスケットボール(NBA)、アイスホッケー(NHL)などを見に行っていました。カナダは特にアイスホッケー発祥の地だけあって、熱狂的なファンが多く、試合はいつも尋常ではないくらい盛り上が…

寿司ネタをDNAバーコードで鑑定

以前私が留学していたカナダのオンタリオ州にあるゲルフ大学(University of Guelph)に、DNAバーコードの父(The Father of DNA Barcoding)*1と呼ばれる人がいました。Paul Hebertという分子生物学者です。 sciencelineより DNAバーコードとは、生物種のミ…

「皆さんが食べているトマトには毒が入っています」

日々、人に伝えるのが難しいなぁと思っていることがあります。 今日講義で、焼き肉や焼き魚のコゲに含まれる発がん物質の話をしました。どんな化合物の物質が生成していて、どんな生理的作用があってという話がメインですが、補足として、人はどのぐらい食品…

「気持ち悪い」クローン食品をどう扱うのか?

今日の産経から。 クローン牛は安全か 消費者の7割「気持ち悪い」で再審議へ クローン食品を安全と結論づけた内閣府の食品安全委員会に、1カ月で172件の意見が一般から寄せられ、そのうち7割程度が「気持ち悪い」など批判的意見だったことが26日分か…

Re: ワインへの酸化防止剤添加は必要悪? - 「神の雫」作者のノムリエ日記

asahi.comの記事から*1。 ワインへの酸化防止剤添加は必要悪? 酒の飲み過ぎ、不規則な生活……などなど、体に悪いことをイヤというほどしている私は、せめて食べ物だけは気を使おうと心がけている。例えば米や野菜は無・減農薬栽培のものを、半加工品、調味料…

新型インフル ー生ハムが不安? 不安なのは知らないからー

豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザH1N1ですが、報道がやや加熱し過ぎのように感じます。マスコミは、不安を必要以上にあおる「恐怖商売」をしてはいけません。 新型インフルの発生に伴う豚肉への不安に対し、世界保健機関(WHO)がさかんに安…

豚インフルエンザ ー「豚テキ定食」の会社を非難するー

WHOが豚インフルの警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げることを宣言しました。これで、正式に新型インフルエンザの発生が認められたことになりました。ちょっと大変なことになりましたが、私達はより冷静な対応が必要です。 今のところ、豚肉を扱う食品メ…

豚インフルエンザ ー私達は鳥インフルで学んだことが生かせるか?ー

鳥インフルエンザ発生時に、「鳥インフル発生国からの鶏肉は扱っていません」との精肉コーナーに張り出した小売店もあったようですが、これは「鶏肉が危ない」と暗にいっているようなもので、風評被害をむしろ拡大する結果になったことでしょう。 今回の豚イ…

豚インフルエンザ ー怖いのは、”豚肉”ではなく”感染した人”ー

アメリカとメキシコで豚インフルエンザの人への感染が確認され、世界保健期間(WHO)が警戒態勢を取り始めました。 BSEの牛、鳥インフルの鶏、そして今回の豚インフルの豚と、これで主要な家畜・家禽の問題が出そろいました。普通の人が、豚といえば”豚肉”を…

アメリカと中国の食の安全に対する取り組み

最近、アメリカと中国で食の安全の確保に向けた機関の新設のニュースがありました。 オバマ大統領、食の安全へ作業部会 「親としても真剣」 【ココ(米フロリダ州)=勝田敏彦】オバマ米大統領は14日、週末恒例のラジオ・インターネット演説で、厚生長官と…

クローン食品の安全は、委員会でなく消費者が決めるという現実

クローン家畜の安全性のニュースから。 クローン牛・豚は安全 食品安全委が厚労省に答申へ 飼育中の体細胞クローン牛=茨城県つくば市の畜産草地研究所 体細胞クローンの安全性を検証していた内閣府の食品安全委員会は12日、成長したクローン牛や豚の食品…

主食は良いけど、お菓子はダメ?

「食の安全」とそのコストに関するニュースから。 「食の安全」での値上げ 牛乳やパンなら許せる? 牛乳やパンでは、消費者が「食の安全」のために受け入れられる値上げ幅は企業が考えているよりも大きい――。日本政策金融公庫が主要な食品14品目について企業…

食品偽装が止まらない

先日、「自分探しが止まらない」という本を読みました。いい視点で書かれています。自分探しが止まらない (ソフトバンク新書)作者: 速水健朗出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ発売日: 2008/02/16メディア: 新書購入: 22人 クリック: 1,118回この…

食の安全を伝える”技術”

多くの消費者は、食の安全に関わる農林水産省や厚生労働省などの官庁が発表することに対して「専門用語が多すぎてよくわからない」とか「何か大事なことを隠している」と感じています。この原因には、1.発信側(官庁や食品メーカー)の問題、2.発信内容…

食品選び、安全性よりも安さ!

以前のブログ「食の安全のコストは誰が払うのか?」で書きましたが、消費者が食品を選ぶ基準はやはり「安さ」のようです。 消費者動向調査:食品選び、安全性よりも安さ! 景気悪化の影響で、消費者が安全性より価格重視で食品を選ぶ傾向を強めていることが…

冷凍食品の原産地表示の問題

石原都知事ががんばったおかげ?で、今年の6月から、都内で流通する冷凍食品の原産地表示が義務化されます。メーカーは、都内向けと他の地域向けに表示の対応を分けるのは難しいので、事実上、多くのメーカーの冷凍食品が原産地表示を求められることになる…

私たちは将来「食べていける」のか?

毒入り餃子事件からちょうど一年。中国産食品の信頼度は幾度となく地に落ちた感があります。しかし、「国産で安い食品を食べたい」などとは到底言えない時代がやってきそうです。 穀物価格3〜4割アップ…2018年農水省予測 食料の名目国際価格が2018…

食の安全のコストは誰が払うのか?

今日の日経新聞に「食の安全 揺れる企業—膨らむコスト、負担どこまで」という記事がありました。「国産」と「安さ」を両方求める消費者に企業が疲弊している様子が書かれていました。 食の安全には手間もお金もかかります。生産者の方から研究室によく食品の…

オバマ大統領就任演説からみる食品安全対策

二十日、オバマ大統領の就任演説が行われました。これまでの選挙戦で支持者を熱狂させてきたオバマ氏の演説ですが、200万人近くを集めた首都ワシントンD.C.での演説はこれまでとはトーンが違っていたようです。人々を興奮させていた「希望」「変革」とい…

クローン牛に不安を抱くのはなぜか?

<クローン牛>「一般と同様に安全」食品安全委作業部会 1月19日20時57分配信 毎日新聞 体細胞クローン技術を使って生まれた牛や豚とその子孫について、食品としての安全性を検討していた国の食品安全委員会の作業部会(座長・早川尭夫近畿大薬学総合研究所…

「もったいない」と「食の安全」は両立するのか?

アメリカのレストランでは、食べ残った食品を持ち帰るための容器を置いているところは普通ですが、日本で残り物の持ち帰りをOKする店はまだ多くはないでしょう。食中毒など衛生上の問題をレストラン側が心配するからです。 以前、私の講義で学生に次のような…

もちのリスクとこんにゃくゼリーのリスク

毎年、正月期間に必ず次のような悲しいニュースを目にすることになります。 もちをのどに詰まらせ3人死亡 東京と埼玉で 元日から2日にかけて、もちをのどに詰まらせて病院に搬送される人が相次ぎ、東京都と埼玉県で計3人が死亡した。 都内では男女19人…