夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

食と芸術

「新しい食」を知るための視点

美術手帖の10月号の特集が「新しい食」でしたので、おもわず脊髄反射的に購入しました。 美術手帖2017年10月号 作者: 美術手帖編集部 出版社/メーカー: 美術出版社 発売日: 2017/09/16 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 料理の美しさに感動するこ…

書は芸術なのか? 食は芸術なのか?

国立新美術館の「ダリ展」を観てきました。 ダリの自伝には「六歳のとき、私はコックになりたかった」と書かれていることからもわかるように、ダリは「食」に強い関心を持っています。 晩年には料理本『ガラの晩餐』まで出版しています。 Dalí: Les Diners D…

「スイーツ×テクノロジー」イベントで感じたこと

BAKEさんとSONYさんとの「スイーツ×テクノロジー」のコラボイベントに審査員として呼んでいただいて、参加しました。 率直な感想は、楽しかったです。ものすごく。 新しい「もの」や「考え方」を、ゼロから立ち上げることはハードルが高いため、やはり異分野…

芸術としての料理の基本原理 〜多様性と統一性〜

先週、仕事帰りにクラシックコンサートを聴く機会がありました。 生のオーケストラの“音圧”が、体の芯に響きました。遠赤外線ヒーターのように、内からじわじわと気分が高揚します。 生音を浴びながら、料理と音楽との類似性を考えていました。 興味をかき立…

レストランでの料理の写真撮影は、なぜ問題なのか?

レストランなどでの外食時に、料理の写真を撮る人を以前よりもよく見かけるようになりました。 レストランでの写真撮影に対して、私はほとんど気にならないものの、全く気にならないわけでもないという感じです。レストランの種類などによってもケースバイケ…

新印象派の科学への接近と解放―総合芸術としての料理の未来

先日、東京都美術館で行われている「新印象派―光と色のドラマ Neo-Impressionism, from Light to Color」を観ました。 新印象派 光と色のドラマ 見どころより一部抜粋。 印象派は、揺れる水面や陽光のうつろいなど、自らの目に映る世界を描き出そうとし、そ…

料理と芸術のおいしい出会い

私たちは、なぜおいしい料理に魅了されるのでしょうか? たとえば、レストランでの食事はとても魅力的です。整然と並べられ食器、調和のとれた場の雰囲気。テーブルは明るく照らし出され、洗練されたサービスによって鮮やかに盛りつけられた料理が運ばれてき…

「食の科学」と「食の芸術」は、なぜ軽んじられるのか?

「食」は人にとってなくてはならないものですが、「食」の科学は、科学の世界の中で必ずしも重要な学問分野として捉えられていないように感じます。 「食品学」や「栄養学」を生業にしている私でも、「物理学」や「分子生物学」の方がより“ 高尚”に見えます…

“真のおいしさ”を理解するには? 「知性食い」と「感性食い」

「料理と科学のおいしい出会い」という本を書き、料理のおいしさを科学の面から迫りましたが、執筆している最中、私の頭の片隅である声が絶えず聞こえていました。 「科学だけで、おいしさがわかると思うなよ。」 料理と科学のおいしい出会い: 分子調理が食…

「芸術的に見せた料理はおいしい!?」という研究

グルメサイトで行きたい店を選ぶときや、レストランで写真付きのメニューを見て注文するとき、さらにコンビニやスーパーで食べものを選ぶときなど、私たちは基本的に眼で見た情報を頼りにお店や料理、食べものを選んでいます。 料理を口にする前には、食品の…

ガウディの「本当の芸術は、感情と理性のバランスにある」という言葉の普遍性

先月のスペイン出張では、マドリード→グラナダ→バルセロナへという行程で移動しました。 バルセロナは、帰路ということもあり滞在時間が短かったのですが、訪れてみたい都市でした。 バルセロナといえば、世界遺産であるサグラダ・ファミリア教会をはじめと…