夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

食と経済

「“試験管培養肉”ハンバーガー」の登場は、“食料生産新時代”の幕開けか?

先月はじめ、試験管でウシの細胞を培養してつくられた“試験管培養牛肉”を使ったビーフバーガーが調理、試食されるというニュースがありました。 (画像:CNN.co.jpより) オランダのマーストリヒト大学の生理学者マルク・ポスト教授らが、ウシの幹細胞を培養…

ウナギが無ければアナゴを食べればいいじゃない!

今年の「土用の丑の日」は約2週間後の7月22日。 コンビニなどで「うな重予約」の広告を見かけるようになりました。 それと同時に、「ウナギ稚魚不漁で価格高騰」*1「ウナギ高騰で老舗閉店」*2「ニホンウナギ 絶滅危惧種指定を検討へ」*3といったニュース…

「テーラーメイド食品」のインパクト 遺伝子で食をオーダーメイド@月刊「事業構想」

「事業構想大学院大学」*1という大学院大学をご存知でしょうか。 昨年2012年4月に、東京・表参道で開学したばかりの、事業アイデア立案から実現までの過程を指す「事業構想」を学ぶ専門職大学院です。 学長の野田一夫さんは、私の現在の所属機関である…

開かれた「遺伝子検査」というパンドラの箱

自分が「血圧が上昇しやすい体質か」や「脂肪が燃焼しにくい体質か」などは、とても簡単に調べられるようになってきました。 高血圧、肥満関連遺伝子を調べる「遺伝子検査」を行う機関や民間の会社が、日本にもたくさん存在しています。 その中で、私たちに…

「食とニューロ・マーケティング ~文理融合の新領域~」

本日の午後、勤務先の大学で外部講師による講演がありました。学内に、その案内のポスターが以前から貼ってありました。 講演は、私と同じフードビジネス学科の都先生の「食品マーケティング戦略演習II」の講義の一環として行われ、授業を取っていない学生・…

「そば粉製品≒めんのそば」なのはなぜか?

前のブログで『一日三食そばでもいい「そば喰い」にとって、…』と書きましたが*1、そば好きの多くは、「麺の蕎麦“切りそば”が好き」という意味であって、決して「そば粉をお湯で練った“そばがき”が好き」というわけではないでしょう。 先日、私が担当してい…

「食品開発学特論」を講義して思ったこと

今日もローソンで買ってしまった宮城大学食産業学部フードビジネス学科の学生たちが開発した「塩チョコスティックケーキ」。 最近、2日に1個のペースで食べています。塩チョコの虜になってしまったのか、なかなか飽きませんね。 東北限定なので東北地方の…

宮城大学 × LAWSON スイーツプロジェクト

わが宮城大学食産業学部フードビジネス学科の学生たちが考案した「塩チョコスティック」が、9月6日(火)より、東北地方のローソンにて発売されます。 フードビジネス学科教授の三石誠司先生の指導のもと、今年の1月からプロジェクトが始動し、書類審査、…

「香港経済日報」に載りました

このブログで何度も出ている、大学1年生対象の「基礎ゼミ」の活動の一部が、「香港経済日報」に掲載されました。 「食之進化(食の進化)」というタイトルの記事で、主に「分子料理」のことについて書かれています。 大きく掲載された写真は↓、私が以前この…

食フェス乱立時代 ーB-1グランプリから万博までー

先日、厚木で行われたB級グルメの祭典「B-1グランプリ」。来場者は史上最多の43万人にも上り*1、優勝した「甲府鳥もつ煮」の経済効果がちょっと凄いようです*2。 B―1制覇の効果絶大、甲府鳥もつ煮注文5倍 甲府鳥もつ煮が、神奈川県厚木市で開かれた全国の…

節約も限界? 「1食30円」以下に抑えるには、

近くのスーパーの食料品がどんどん安くなっています。最近は、白菜が1玉100円を切ったり、もやしが1袋10円で売られています。家でビールを飲むのはもはや”ハレ”の日だけで、普段は1缶100円の第三のビールというのがいつからか日常となりました。安売り競争…

ジャンクフード税、チョコレート税、ラーメン税の時代がやってくる

たばこ税の増税が決定されました。来年10月から1本当たり過去最大5円の引き上げにより、1箱300円が400円になるようです。私はたばこは吸わないので大歓迎です。 たばこ増税は社会保障費の財源確保がメインでしょうが、政府は2010年税制改正大綱では「国民の…

モスの「国産バーガー」の疑問

先日、久しぶりに近くのモスバーガーに行き「国産バーガー」というものがあることを知りました。その登場時のニュースがこちら。 自給率向上へ官民タッグ ビジネスと消費牽引 昨年12月、ハンバーガー大手のモスバーガーが東京都品川区の本社で開いた新商品…

ブルガリア人が自国のヨーグルトを食べなくなっていたなんて

日本人が「ブルガリア」と聞けば、ほとんどの人がヨーグルトを想像することでしょう。これは、もちろん「明治ブルガリアヨーグルト」の影響が大きいためです。どうして「ブルガリア」なのか、「明治ブルガリアヨーグルト」の誕生にはちょっとした逸話があり…

「金融危機後」の世界の食事情

最近、毎月購入している雑誌「クーリエジャポン」ですが、今月号は「食」の特集していました。表紙には、『世界の「食欲」大研究 金融危機でも人は食べずにいられない!』というタイトルの下に、おいしそうなドーナッツの写真があり、「これから、ドーナっち…

世界金融危機になって良かったこと―その2

現在の不況ゆえに家庭回帰の志向が強まって、外食を減らして自分で料理をする人が増えてるようです。そのため、家庭で料理する素材や道具が売れているとのこと。 また、男女問わず、クッキングスクールに通う人が増えています。料理に関心を持つ人も増えるこ…

世界金融危機になって良かったこと—その1

世界金融危機による不況、不況の大合唱。マスコミのネガティブキャンペーン真っ最中。WBCでの侍ジャパンの決勝進出も決まったことですし、あえてポジティブな発想を繰り出してみたいと思います。 経済危機になって、生活上良かったのは、なんといっても「原…

食の安全のコストは誰が払うのか?

今日の日経新聞に「食の安全 揺れる企業—膨らむコスト、負担どこまで」という記事がありました。「国産」と「安さ」を両方求める消費者に企業が疲弊している様子が書かれていました。 食の安全には手間もお金もかかります。生産者の方から研究室によく食品の…