夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

食と社会

“自販機化”する料理

前回の続き。 昔の未来予想やアニメそしてSFには、「人型ロボット」が登場します。家事ロボット、運転手ロボット、執事ロボット、警官ロボット、殺人ロボット等々。 私たちが生きる現実の世界にも、ソニーの「AIBO」、ホンダの「ASIMO」、ソフトバンクの「Pe…

なぜ多くの人々が料理の写真を撮って共有するのか?

以前のエントリーで、以下のような記事を書きました。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/03/19/214336" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/03/19/214336">レストランでの料理の写真撮影は、なぜ問題なのか? - 夜食日記</a> レストランでの写真は、TPOでしょう。 写真を撮るのは、食べると消えてなくなる料理を記念に残したいという気持ちもあるでしょうが、Twit…

メルト化する世界、モザイク化する世界

IUFoST(International Union of Food Science & Technology)という食品科学技術に関する国際学会に出席するため、カナダのモントリオールに来ています。専門知識の波を浴び、普段働かない脳の部分が活性化している気がします。 専門が融合する 食品学と栄…

「ターミナル・メシ」で国の食欲を探る

お盆で民族大移動のこの時期、私も昨日は実家に墓参りに行きました。高速の渋滞に見事はまりました。 今、帰省や旅行などで空港や駅にいて、そこで食事を取られている方も多いことでしょう。 空港とくに国際空港内での食事は、その国の現代の食文化を表す象…

「ファッションフード、あります。」

「食」の研究をしていますが、日本人ほど食べものに興味がある国民はいないとつくづく感じます。 日本ほど世界中のいろいろ料理が食べられる場所は稀有であり、TVのチャンネルを回せがひっきりなしに食の情報が流され、レストランではいたるところで料理の写…

バル店員さんの動きの背後には…

スペイン、アンダルシア地方にあるグラナダでの学会中、夜はホテル近くのバルで食事をしました。 お酒(ビール)とそのあてのタパスをいろいろいただきました。

「“試験管培養肉”ハンバーガー」の登場は、“食料生産新時代”の幕開けか?

先月はじめ、試験管でウシの細胞を培養してつくられた“試験管培養牛肉”を使ったビーフバーガーが調理、試食されるというニュースがありました。 (画像:CNN.co.jpより) オランダのマーストリヒト大学の生理学者マルク・ポスト教授らが、ウシの幹細胞を培養…

「エル・ブジ」のフェラン・アドリアが料理界に起こした“革命”とは?

なぜ、“スペイン勢”が「世界最高のレストラン」に選ばれるのか? 「現代スペインを知るための60章」でスペイン料理研究家の渡辺万里さんが書かれているある章からの“エキス”と、私が思ったことからその答えを導いてみたいと思います。 それは、ある一人の料…

ユニークな形のお菓子が作れるだけじゃない「3Dフードプリンタ」の真のインパクト

最近、何かと注目を集めている「3Dプリンタ」ですが、「食」の分野でもその利用が模索されています。 現在でも食品業界では、可食インクを使ったインクジェットプリンタが、ケーキやクッキーの表面に“2D”のイラストや似顔絵を描かれることに使われていますが…

ウナギが無ければアナゴを食べればいいじゃない!

今年の「土用の丑の日」は約2週間後の7月22日。 コンビニなどで「うな重予約」の広告を見かけるようになりました。 それと同時に、「ウナギ稚魚不漁で価格高騰」*1「ウナギ高騰で老舗閉店」*2「ニホンウナギ 絶滅危惧種指定を検討へ」*3といったニュース…

「テーラーメイド食品」のインパクト 遺伝子で食をオーダーメイド@月刊「事業構想」

「事業構想大学院大学」*1という大学院大学をご存知でしょうか。 昨年2012年4月に、東京・表参道で開学したばかりの、事業アイデア立案から実現までの過程を指す「事業構想」を学ぶ専門職大学院です。 学長の野田一夫さんは、私の現在の所属機関である…

対戦相手を“食べて”応援するということ

ワールドカップ(W杯)出場を目指すサッカー日本代表が、ただいまオーストラリアと対戦中。 もちろん、“国民の義務”として応援してますよ。 よく、「対戦相手国の料理を食べて応援」というニュースを目にします。 南アフリカのワールドカップでは、例えば「…

OG・OB力

現在の大学に異動して、約2年半。二度ほど卒業生を送り出しました。先週の土曜日、初の「研究室OG・OB会」をしました。研究室の4年生のK君が、熱心に企画してくれました。 今春卒業したOG3名が忙しい中、それぞれ遠方から訪れてくれました。教え子たちに…

奴隷制度から生まれたブラジルの国民料理

サンパウロで日系ブラジル人の方に街の市場を案内して頂いている時、ブラジルの国民的料理である「フェイジョアーダ」の話になりました。 「地球の歩き方」に次のように載っていたので、私もその料理のことなんとなくは知っていました。 フェイジョアーダ Fe…

「食は人なり」?それとも「人は食なり」?

前回のつづき。 前のブログでは、食べものの持つステレオタイプで、それを食べた人の「女性らしさ、男性らしさ」や「パーソナリティ」などが判断される「食は人となり仮説」を紹介しました。 プランスの有名な美食家、ブリア・サヴァランの著書「美味礼賛」…

「女性的食品」と「男性的食品」

先日の大学院講義「食品開発学特論」で、院生たちとディスカッションしたネタをひとつ。 いきなりですが、ある人の一日の食事メニューを下に示します。 朝食 クリームチーズベーグル 1個 オレンジジュース 1杯 コーヒー 1杯 昼食 ツナとレタスのサンドウ…

「学食」の役割を考える

本日、東北大学の本部がある片平キャンパスにある「学食」に、妻と晩ごはんを食べに行きました。私の自宅から歩いて10分圏内にあります。 片平の学食であった「北門食堂」が新しく建て替えられ、「片平新食堂」ができたのが昨年の8月のこと。片平キャンパス…

震災時の「食」を伝えたい

先週3月15日(木曜日)の読売新聞夕刊に『震災の「食」伝える』という記事が載りました。 事前に読売新聞の記者さんから取材を受け、被災時の仙台市内の食事情などをお話ししました。また、先日上梓した「大震災を生き抜くための食事学」にも記事内で触れて…

食と放射性物質の問題 〜何を信じたらいいのかわからない世の中で、唯一“はっきり”言えること〜

食と放射性物質の問題に関しては、「政府が放射性物質に関する情報を隠しているかもしれない」という不安を抱いている方が多いのではないかと思います。 食品は自分の体の中に入れるものですから、「信頼」が不可欠です。食品中の放射性セシウムの規制値が20…

半年遅れの宮城大学の入学式 〜ニュー入学式となれ〜

本日10時から、約半年遅れで「平成23年度宮城大学入学式」がとり行われました。 3.11の東日本大震災によって、本年度、宮城大学の授業開始は1ヶ月遅れ、5月上旬のGW明けから始まりました。それに伴い、入学式は施設の安全性の面からずっと延期状態となっ…

宮城大学食産業学部共同開発「塩チョコステックケーキ」本日発売開始!

宮城大学食産業学部とローソンとの共同開発商品「塩チョコステックケーキ」*1が本日より発売開始となりました。さっそく今朝、出勤前にローソンによって買ってきました。 開けるとこんな感じです。 トップに金粉が載っていて実に「伊達」です。食べると程良…

野菜と米と牛と花と

お盆に実家の福島に帰りました。 そこに住む母と祖母、近くに住む姉と話したことは、原発による放射能汚染に関することがほとんどでした。福島県民のほどんどの方がそうでしょうが、見えない放射能におびえながら暮らしていることが実の家族との会話からより…

世界からの風評被害を耐え抜いた先には

以前私が書いたブログ「今の日本は、原発事故による風評被害の“被害者”にも“加害者”にもなりうるという現状の中で」が、残念ながら進行しつつあるようです。 福島ナンバーやいわきナンバーを嫌がる方は、いずれ、世界から同じ風評被害の目にあったとき、そこ…

「食」の問題に、文系、理系の区別なんて関係ない!

昨年の4月に、今勤務している「宮城大学 食産業学部 フードビジネス学科」に異動してきて、はや1年が経ちました。 新しい環境に身を置き、これまでに経験したことのないフレッシュな体験をいろいろとしました。1年を通してみて、宮城大の食産業学部は、私…

就"食"活動

大学3年生の就職活動がピークを迎えています。 毎年、就職先人気企業ランキング*1、*2が発表されていますが、ここ数年、景気に左右されない食品企業の人気が高まっています。 私が勤務している「宮城大学 食産業学部 フードビジネス学科」は、看板に食(フ…

「香港経済日報」に載りました

このブログで何度も出ている、大学1年生対象の「基礎ゼミ」の活動の一部が、「香港経済日報」に掲載されました。 「食之進化(食の進化)」というタイトルの記事で、主に「分子料理」のことについて書かれています。 大きく掲載された写真は↓、私が以前この…

一問逸答

今日の河北新報の夕刊に載せていただきました。 芳賀様、伊深様、誠にありがとうございました。

仙台マルシェ・ジャポンにて

昨日感じた、ちょっといいことを一つ。 勤務先の大学で、食品のマーケティングを学ぶ演習科目があります。その授業の一環で、「マルシェ・ジャポン」という農林水産省の支援による都市住民参加型の市場(マルシェ)に参加するという活動があります。具体的に…

理性や理屈だけでご飯が食べられるか?

この記事に、コメント、☆やブックマークなどを付けて頂いた方、誠にありがとうございました。 1年以上も前の記事に?という感は否めないですが、いろいろなご意見を大変興味深く拝見しました。 「量」の概念については、きちんと粘り強く説明すれば、ほとん…

”まっとうさ”の時代

食品の研究していますので、食品企業の工場見学は一般の方よりはたくさんしていると思います。しかし、「こんな工場見学ははじめて」という体験をしました。 私の所属大学、所属学科の2年生を対象に、学外の食品工場等を見学する「施設見学会」というものが…