夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

栄養

“頑固オヤジ”はこうして作られる 〜体と頭の省エネ化の先〜

二十歳前後の学生を見ていると、体のエネルギー利用効率が悪いなと感じます。昼ごはんきちんと食べたであろうはずのに、4限目の授業で講義室にどんよりと漂う「もう、お腹すいた」という空気感。 自分が学生の頃を思い出してみても、ごはんを食べる度に汗が…

Q. 栄養を摂るために食べるのに、吸収を抑えるトクホってなんか矛盾してません?

私の講義での学生からの質問。 A. 食べることに多くの役割を求めるのが、人間です。 脂質や糖質の吸収を抑える特定保健用食品(トクホ)や健康食品がたくさん上市されています。「食べるのをガマンしない」といった謳い文句とともに。 そもそも人は何のため…

加熱調理は、ヒトの脳を“進化”させ、体を“退化”させた?

サイエンスの分野で、1990年頃から「21世紀は脳の時代」という言葉をよく耳にしていましたが、実際に日本で「脳科学ブーム」が起きています。 「私たち“ヒト”とゴリラのような“サル”を分かつもの」を考えると、言葉の有無、手先の器用さなどありますが、やは…

もう一つの「招致活動」の成功

昨日、スペインから帰国しました。いい刺激をたくさん受けて来ました。 また、夜な夜なおいしいものをたくさん食べ過ぎて、胃がやや“筋肉痛”です。 今回参加した国際栄養学会議(International Congress of Nutrition、ICN)は、国際栄養科学連合(Internati…

栄養“知識”過剰摂取の幸福感@国際栄養学会

国際栄養学会で“栄養知識”の洪水を浴びています。 朝8時から19時まで約8つのシンポジウムが同時並行で行われ、タイトなスケジュールの運行がほぼ1週間続きます。 国際学会では出来るだけ俯瞰的な知識を得るため、自分の専門以外のセッションも積極的に聞こう…

「国際栄養学会」で出された昼食とは?

国際栄養科学連合(International Union of Nutritional Sciences、IUNS)が4年に一度開催する第20回国際栄養学会(20th International Congress of Nutrition)に参加するため、スペインのアンダルシア地方にあるグラナダに来ています。 学会場のGranada Co…

昆布と椎茸の“合わせだし”が最強の理由 うま味「相乗効果」の分子メカニズム

私が「卵」の研究者だからかも知れませんが、「茶碗蒸し好き」と公言する方に、かなり会ってきた気がします。 フタを開けると立ち上がる上品な香り、つるりとした食感、そして日本人の遺伝子に組み込まれたほっとする「ダシ」への安心感などが、満腹でも茶碗…

あなたに“究極に合う”食を提供する「3Dフードプリンタ」のアナザ・インパクト

3Dプリンタの食品版「3Dフードプリンタ」は、ユニークな形のお菓子が作れるだけではなく、「誰でも、どこでも、食感のある“食事”を自動的に作ることができる」可能性があることを前のブログで書きました*1。 そのため将来、3Dフードプリンタは「究極の調理機…

「テーラーメイド食品」のインパクト 遺伝子で食をオーダーメイド@月刊「事業構想」

「事業構想大学院大学」*1という大学院大学をご存知でしょうか。 昨年2012年4月に、東京・表参道で開学したばかりの、事業アイデア立案から実現までの過程を指す「事業構想」を学ぶ専門職大学院です。 学長の野田一夫さんは、私の現在の所属機関である…

出張講義@山形県立鶴岡北高校

出張講義の依頼があり、山形県立鶴岡北高等学校に行って来ました。 私の職場のある宮城県仙台市からお隣の山形県庄内地方にある鶴岡市までは、高速道路を使って約2時間半のといったところです。 鶴岡に行く前にGoogleマップで場所をチェックしましたが、鶴…

「食」の20年度、30年後の未来予想

今年もあっという間に「仕事納め」の12月28日。“おさまっていない”仕事が多々ありますが、いちおう「ひと区切り」の日となりました。 年末年始は、「これまでの1年」そして「これからの1年」を考えるきっかけを与えてくれる時期です。 2012年。私は、初め…

「遺伝子検査」とセットで“販売”しなければならないもの

DHCさんの「遺伝子検査 ダイエット対策キット」を実際に試してみました。 ほおの内側の口腔粘膜を送ってから数週間後、「肥満関連遺伝子 検査結果報告書」が届きました。 「肥満関連遺伝子」って何? 肥満関連遺伝子として一番有名なのは、脂肪の分解や燃焼…

開かれた「遺伝子検査」というパンドラの箱

自分が「血圧が上昇しやすい体質か」や「脂肪が燃焼しにくい体質か」などは、とても簡単に調べられるようになってきました。 高血圧、肥満関連遺伝子を調べる「遺伝子検査」を行う機関や民間の会社が、日本にもたくさん存在しています。 その中で、私たちに…

山中教授の「iPS細胞」から考える「食事療法の将来」

山中伸弥教授が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発に関するノーベル医学生理学賞を受賞して、はや1ヶ月弱が経ちました。 ヒートアップしていた報道がだいぶ落ち着いたようですので、“食品研究者的”に思うところを書いてみたいと思います。 以前、再生医療に…

食品業界は今後どのような新商品を開発すればよいか? - 食産業の進化から考える -

今回参加した国際食品科学技術連合IUFoSTの活動は多岐にわたりますが、そのメインのひとつが、食品研究者と食品技術者の教育でしょう。 日本の学術学会ではあまり見かけないのですが、このIUFoSTの国際学会World Congressでは、教育関係のプログラムが数多く…

「単調な食事を続けていると食欲がなくなる」のはなぜか?

以前にこのブログで話題にした「味わいの認知科学」*1という本の感想を一つ。 「食における“味わい”とはなにか?」について、分子生物学と実験心理学を専門とするお二方によって編集されたこの本。 読んでみて実におもしろい。読み進めていくうちに、線がが…

震災後の栄養から考える「ライフステージ栄養学」と「オーダーメイド栄養学」

震災後の栄養事情から 今日、Webサイト上で見つけた「震災後の“栄養”」に関するカロリー不足*1とカロリーオーバー*2という“相反する”2つの記事から。 東日本大震災:避難所の食事、栄養に問題 1カ月後も解消されず−−宮城・南三陸 東日本大震災の避難所で提…

肥満なのは調理された食べ物を食べているから? ー体重の増加は食品の調理方法に依存するという研究からー

食べ物は体の“燃料”ですが、 「その燃料のエネルギー量は、食べ物に含まれる“カロリー”だけではなく、その“調理方法”にも関係している」という研究が11/7の米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)のオンライン版に掲載…

角館高校での模擬講義にて

先々月、秋田県立角館高等学校から所属学部へ模擬講義の依頼があり、私にお話が回ってきました。文化の日の前日の11/2がその出前授業の日で、朝7時頃に仙台の自宅から車で角館へと向かいました。 寒暖差の激しい秋の朝のため、東北自動車道を走っている間は…

くるみが脳の力を高める“ブレインフード”?

以前、このブログで脳を活性化する”食”、すなわち「ブレインフード」*1に関する記事を書きました。 その時、ブレインフードをイメージしやすいように、脳の形に似た「くるみ」の写真↓を挿絵に何気なく使いましたが、今日偶然にも「そのくるみがサイエンス的…

「炭水化物よりタンパク質、食料より食事、満腹より満足」へ

新年度になり、知り合いのWebデザイナーさんに、ブログのタイトル画像を作製して頂きました。だいぶかわいい感じですが、気に入っています。ありがとうございました。 ところで、予兆はあったのですが、口内炎ができてしまいました。震災後、口腔内の衛生管…

「甘いものでほっとする」の科学

今日のasahi.comのニュースから*1。 甘いものでほっとして 被災地に焼き菓子177箱送る 東日本大震災の被災者らに「甘いものでほっとして欲しい」と、神戸や大阪、京都、北海道などの菓子店16店が28日、クッキーやマドレーヌなど日持ちする焼き菓子計…

なぜ、変わったものが食べたくなるのか

同じようなものを食べ続けていると「たまにはちょっと変わったものが食べたいな」と思うものです。私の場合、エスニック系などです。 栄養学的な観点から考えると、同じものを食べ続けることによる栄養の偏りを避ける「リスク回避」のように感じます。 もち…

料理を分子レベルで調べたい理由 −食の流れの中で−

前々回*1、前回*2の続き。 今から約11年前、大学院時代の「生体物理化学」という研究室から、「食品科学」という研究室の教員になりました。 ちょうど、食の研究分野では、食品そのものを研究するよりも、その機能性、特に「生体調節機能」に関する研究が…

人はなぜ二日酔いになるのか?

年末年始、お酒の飲み過ぎで「二日酔い」になった人もきっと多いことでしょう。 昨年の大晦日に、その二日酔いに関するちょっと面白い論文が出ました。それが、こちら↓。 Acetate Causes Alcohol Hangover Headache in RatsMaxwell CR, Spangenberg RJ, Hoek…

自分の体が”クラシックカー”から”ハイブリッドカー”に変わる時

最近ちょっとはまっているのが、穂村弘さんのエッセイです。歌人でいらっしゃるだけあって、言葉の選び方に独特の味わいとセンスを感じます。 最近読んだ「本当はちがうんだ日記」。 本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)作者: 穂村弘出版社/メーカー: 集英社…

縄文式ダイエット

以前私のブログで、炭水化物ばっかり食いの「弥生式食生活」ではなく、いろいろな食物から各栄養素をまんべんなく摂取する「縄文式食生活」がいいのではという記事*1を書きましたが、それに関連したニュースを最近2つ見かけました。 asahi.com(朝日新聞社…

食育講演会

昨日、太白区中央市民センターにおいて「食育」に関する講演会を行ないました。宮城大学 食産業学部と、食産業学部がある仙台市太白区の中央市民センターとの共催事業です。 事前に、宮城大学の事業構想学部の学生に、講演用のポスターも作製してもらいまし…

講演の内容が新聞に掲載されました

10/6(水)にアエルで行った宮城大公開講座・食産業学部イブニングセミナー「アフターファイブに学ぶ食の未来」での講演に関する記事を、10/25(月)の河北新報さんの「食のページ」に写真付きで掲載していただきました。話した内容を非常に分かりやすくまと…

「イブニングセミナー」してきました

たった今、アエルで講演してきました。 公開講座 宮城大学食産業学部イブニングセミナー『アフターファイブに学ぶ食の未来―新世代のフードビジネスと私たち―』の1回目の講師として。 講演のタイトルは、以下の通りです。「同じように食べても、どうしてあの…