読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

“自販機化”する料理

前回の続き。 昔の未来予想やアニメそしてSFには、「人型ロボット」が登場します。家事ロボット、運転手ロボット、執事ロボット、警官ロボット、殺人ロボット等々。 私たちが生きる現実の世界にも、ソニーの「AIBO」、ホンダの「ASIMO」、ソフトバンクの「Pe…

調理の“ロボット化”によって見えてくるもの

上海で『ラーメンロボット』が登場というニュースを見ました。 作っている動画を見ると、トッピングの乗せ方が、ちょっと残念です。↓ 日本で一世を風靡したラーメンロボット 元になっている技術は、日本の産業用機械メーカーの株式会社アイセイさんによるも…

「なぜ凍結卵は固まるのか」から「次の凍結卵の可能性」まで

昨年からブームとなっている「凍結卵」。だいぶ市民権を得てきた印象を受けます。さらに、凍結卵で「卵黄のお刺身」など新ジャンルの料理の開発も進み、凍結卵の世界はまだまだ大きな広がりを見せそうな勢いです。 もともと、卵黄が固まるゲル化という現象は…

“超遠心分離”目玉焼き 食材を“分解する”という調理アプローチ

以前のエントリーで、生果汁を遠心分離して、密度差のある「“遠心分離”アイスキャンディー」を作りました。“遠心分離”アイスキャンディー - 夜食日記 昔は入手困難だった世界中の食材が、現在比較的手に入りやすくなることによって、食材による料理の差別化…

玉ねぎではなく長ねぎを“あめ色化”してカレー用にする方法

前回のエントリーで、「玉ねぎのあめ色化のスピードアップ」を図りました。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/07/05/215545" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/07/05/215545">カレーの玉ねぎの“あめ色化”をスピードアップさせる方法 - 夜食日記</a> アルカリ性側でメイラード反応が促進することから、玉ねぎにアルカリの塩である「重曹」を加えて炒めてみたとこ…

カレーの玉ねぎの“あめ色化”をスピードアップさせる方法

カレーはいつでもおいしいですが、暑くなるとよりカレーが食べたくなります。 本格的なカレーを作ろうとすれば、「玉ねぎを炒める」という作業は必須でしょう。玉ねぎをあめ色になるまで炒めると、甘さと独特の香りが生まれます。 しかし、玉ねぎをしっかり…

カレー「専用米」の登場―料理のゴールを考えた『料理育種』

私たちが主食としている「一般米」と日本酒用の「酒米」の品種が違うことは多くの人が知っているでしょう。しかし、「カレー専用米」、「寿司専用米」、「リゾット専用米」が品種改良によって登場していることはご存知でしょうか。 カレー専用の米「華麗舞」…

トランスグルタミナーゼによる「しらすバーガー」の創作

食品成分を“つなぎ合わせる”酵素の一つに、「トランスグルタミナーゼ」というものがあります。 以前、このブログでも紹介しました。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2013/09/03/215737" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2013/09/03/215737">多彩な“食感”を生み出す「トランスグルタミナーゼ」の分子ガストロノミーへの応用 - 夜食日記</a> トランスグルタミナーゼを使…

新しい料理を作るための“ゲル化”

国内外の前衛的なレストランでは、増粘剤などを使って、新しい食感を持つ料理が次々と開発されました。この増粘剤によるゲル化の役割は、液体の食材に粘りを増して形を保つことと、完全に固めることにあります。 増粘剤を使って、液体の周りをゼラチン質で覆…

“ホット・アイスクリーム”の作り方

材料 牛乳:1 カップ(200 g) 砂糖:10 g メチルセルロース:4 g バニラビーンズ:適量 卵黄:1個(コクを出す場合) 作り方 材料をすべて合わせる。 冷蔵庫で一晩寝かす。 生地をかき混ぜる。 電子レンジで加熱する。 好みの大きさに取り分ける。 だいた…

“ホット・アイスクリーム” 温めると固まり、冷やすと溶ける

念願だった“温かいアイスクリーム”「ホット・アイスクリーム」の試作品ができました。ネーミング的に、矛盾していますが…。 温度が、70℃超えの“アイスクリーム”です。 ババロアっぽいですがババロアではありません。 普通のアイスクリームは、冷たいうちは形…

ラーメンの“料理の式”とその式を変形した料理

前回のエントリーの続き。 &lt;a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/02/205518" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/02/205518"&gt;料理の見方を変える「料理の式」 - 夜食日記&lt;/a&gt; 料理の式の例として、“…

料理の見方を変える「料理の式」

フランスの物理化学者がエルヴィ・ティスが考案した「料理の式」。以下のふたつの要素を組み合わせることで、あらゆる料理が表現できるといっています。 要素その1(食材の状態) G(ガス):気体 W(ウォーター):液体 O(オイル):油脂 S(ソリッド):…

「ソーセージは餃子のように焼け!」@dancyu

今日、dancyu編集部のSさんから、最新号のdancyuが送られてきました。dancyu (ダンチュウ) 2014年 12月号出版社/メーカー: プレジデント社発売日: 2014/11/06メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 特集の一つである下の記事の内容に関して事前に…

塩レモンがおいしくて、塩ブドウがおいしくない理由

前回のエントリーで紹介した自家製「塩ブドウ」。 塩レモンブームに乗って、「塩ブドウ」を作ってみたら… - 夜食日記 あまりの“おいしくなさ具合”にその理由を考えたくなりました。 そもそも、多めの塩と果物との相性がいい食品の例といえば、ブームとなって…

塩レモンブームに乗って、「塩ブドウ」を作ってみたら…

今年、万能調味料として大ブームを巻き起こしている、塩レモン。塩レモン関係のレシピ本を本屋でたくさん見かけます。 さらに、そのブームに乗って現在、塩トマトや塩たまねぎなど“塩◯◯”シリーズが続々と登場しているようです。 秋は果物の一番おいしい季節…

発見はどこから来るかわからない。クラゲとセレンディピティ

多くの人の心の琴線に触れる物語の定番といえば、主人公が「どん底から立ち上がる」という話でしょう。リアルの世界で、そんなストーリーを見させてもらいました。山形県にある鶴岡市立加茂水族館のクラゲにまつわる物語です。 昨日、その加茂水族館に行って…

卵のジャーキーはなぜないのか? “エッグ・ジャーキー”の開発

大学1年生の少人数教育の演習科目で行った、あるお試し実験から。 <イントロダクション> 「ビーフ・ジャーキーはあるのに、なぜエッグ・ジャーキーはないのか?」という卵研究者(私)の永遠の命題!?を解決するために、実際に「エッグ・ジャーキー egg …

箸やフォークはここまで来た! カトラリーに迫るハイテク化の流れ

「メガネ」や「腕時計」のウェアラブルコンピュータ化が進んでいますが、「食」の分野でも、さまざまなハイテク化を目にするようになりました。 料理を口に運ぶ箸やフォークなどのカトラリーに忍び寄る「高機能化」の例を3つピックアップします。 食事のス…

NHK「視点・論点」に出ました

今日のNHK「視点・論点」に出演させて頂きました。以下、詳細です。 番組名:視点・論点テーマ:おいしさと科学出演者:宮城大学准教授 石川伸一放送日:9月16日(火) NHK総合 4:20〜4:30 NHK教育 13:50〜14:00ブログ:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-bl…

ワールドカップ・キュイジーヌ

2014 FIFAワールドカップのブラジル大会が、決勝戦「ドイツvs.アルゼンチン」の一試合を残すのみとなりました。時差の関係もあって今回、日本戦も含めてほとんど試合は見れていませんが、世界一のスポーツイベントの盛り上がりは感じています。 出場国の独特…

エル・ブリのフェラン・アドリアに関する書籍等4点

先月出版された『料理と科学のおいしい出会い』に関する参考図書などをシリーズで紹介します。 最初は、第1章の「料理と科学」の出会いの歴史から、『エル・ブリ』のフェラン・アドリア氏に関するものから。 1. エル・ブリ 想像もつかない味 一つ目は、2002…

分子ガストロノミーは死んだ!?  その発展を阻んだものとは?

先日ご紹介した「料理と科学のおいしい出会い: 分子調理が食の常識を変える」という本の説明がごちら。 内容説明 近年、物理学、化学、生物学、工学の知識を調理のプロセスに取り込み、これまでにない新しい料理を創造しようとする「分子調理」が注目されて…

「料理と科学のおいしい出会い」という本が出ます。

自然科学分野の書籍を発行している化学同人さんから「料理と科学のおいしい出会い: 分子調理が食の常識を変える」という本が出ることになりました。 化学同人さんのサイトでもこれから出る本として掲載されています。 表紙は、これからです。 料理と科学のお…

キッチンは自然界への魔法の扉。生き方を変えたいのなら、料理をしよう。

私たちが料理する時間は年々減り続けているといわれています。私自身の食生活を振り返っても、強く感じます。 しかしその一方で、テレビなどのメディアには料理に関する情報があふれ、人々の料理への情熱は全く衰えを知らず、むしろ増強されているようにも感…

料理を“建築”すること 〜料理と建築の共通性〜

「建築家に料理好きが多い」のは、「建築と料理が似ているからだ」というのを耳にしたことがあります。 料理と建築の共通性 シェフの仕事がメニュー、食材の特徴、調理法、器、テーブルセッティング、予算を考えて料理を作るように、建築家もデザイン、材料…

フードペアリング仮説 「“科学的”食材組み合わせ」による新メニューの開発

よく「日本料理は“引き算”の料理、フランス料理は“足し算”の料理」といわれます。 日本料理は、余計な調理を極力省き、素材そのものの味を引き立たせることを優先させるのに対し、フランス料理は、多彩な食材を組み合わせ、深みのあるソースが味のベースにな…

「料理は科学ですね」

さっき見ていたNHKの連続テレビ小説の「ごちそうさん」で、主人公のめ以子(杏さん)が、スコッチエッグの熱伝導を話す下宿生の悠太郎に「料理は科学ですね」といっていました。 科学を知っていると料理は格段においしくなりますが、科学は料理のおいしさの…

「ファッションフード、あります。」

「食」の研究をしていますが、日本人ほど食べものに興味がある国民はいないとつくづく感じます。 日本ほど世界中のいろいろ料理が食べられる場所は稀有であり、TVのチャンネルを回せがひっきりなしに食の情報が流され、レストランではいたるところで料理の写…

「エル・ブジ」のフェラン・アドリアが料理界に起こした“革命”とは?

なぜ、“スペイン勢”が「世界最高のレストラン」に選ばれるのか? 「現代スペインを知るための60章」でスペイン料理研究家の渡辺万里さんが書かれているある章からの“エキス”と、私が思ったことからその答えを導いてみたいと思います。 それは、ある一人の料…

なぜ、“スペイン勢”が「世界最高のレストラン」に選ばれるのか?

毎年、イギリスで発行されている「Restaurant」という雑誌上で、料理人や評論家ら投票で選ぶ「世界のベストレストラン50 The World's 50 Best Restaurants」が発表されています。 ちょっと古いのですが、今年のベストレストランの発表が4月末に行われました…

花いちじくの天ぷら

昨日、あるお店で「花いちじくの天ぷら」というものを食べました。 イチジクは秋頃に旬を迎える果物ですが、夏の一番はじめに数個だけ収穫できる小さいイチジクのことを「ハナイチジク」と呼ぶそうです。 もともとイチジクは、花を咲かせずに実をつけるよう…

あなたに“究極に合う”食を提供する「3Dフードプリンタ」のアナザ・インパクト

3Dプリンタの食品版「3Dフードプリンタ」は、ユニークな形のお菓子が作れるだけではなく、「誰でも、どこでも、食感のある“食事”を自動的に作ることができる」可能性があることを前のブログで書きました*1。 そのため将来、3Dフードプリンタは「究極の調理機…

舌から脳までの“おいしさ情報”の「伝言ゲーム」

料理を食べて「おいしいっ!」と感じるプロセスは、食べものの「情報」を脳に伝える「伝言ゲーム」のようなものです。 例えば、味覚では、食べものの中に含まれる「味分子」が、舌の味蕾にある味細胞の表面にある「味覚受容体」にくっつきます。 受容体に味…

“おいしさ”は料理の中ではなく、脳の中にある

先日、久しぶりに外で焼肉を食べました。パワーを得たい時は、やはり肉ですね。 炭火で肉を焼く際、網の上で焼かれる音、肉の焼き目、立ち上る香り、そして食べた時に肉からほとばしる肉汁の風味やとろける食感によって「おいしさ」を感じます。 おいしい料…

地域の在来野菜で作るレシピ集

先日の山形県の庄内地方の鶴岡に模擬講義に行った帰りにいくつかおみやげを買ってきました。「だだちゃ豆」のフリーズドライとせんべい。↓ だだちゃ豆といえば、鶴岡の在来エダマメの総称で、私にとってビールの最強のお供です。 だだちゃ豆とその親戚系統は…

史上最大の“炒飯”大実験

最近は、料理好きな男子もまったく珍しくなくなりましたね。勤務先の大学にも「料理男子」たちがたくさんいます。元「料理“男子”」だった私もこの時代の好ましい変化に感慨深いものがあります。 本屋に行くと、そんな料理男子向けの雑誌がたくさん並べられて…

未来の料理の行方

先週、私の誕生日で、大変ありがたいことに、研究室のラボメンバーに手作りの「卵型のケーキ」とプレゼントを頂きました。 「ケーキが卵型」なのは、私の専門が「卵の科学」だからです。2日がかりの力作だったそうで、「卵黄」部分のカスタードと生地の層が…

ヘストン・ブルメンタールの「料理と科学」 科学実験好きな料理人

科学的な調理法を使う料理人として、「エル・ブリ」のフェラン・アドリアと同様に有名なのが、ヘストン・ブルメンタールでしょう。 ヘストン・ブルメンタールはイギリス生まれで、ロンドン西部のバークシャーにあるレストラン「ファット・ダック」のシェフで…

エルヴェ・ティスの「料理と科学」 料理が好き過ぎた物理化学者

エルヴェ・ティスは、パリにあるフランス国立農業研究所の研究者で、調理のプロセスにおける物理化学的な研究で知られています。 私が、彼を初めて知ったのは、『フランス料理の「なぜ」に答える』という本でした。 ティスが著者であるその本の帯には、 料理…

フェラン・アドリアの「料理と科学」 “斬新”を作るための“科学的”技術

私は、 料理(Cooking) 科学(Science) 芸術(Art) の“3つ輪”が交わる「融合領域」に強い関心があります。 スペインのシェフ、フェラン・アドリアの料理は、そのうち「料理」と「芸術」の2つの輪が大きく重なって見えます。しかし、「科学」の“輪っか”…

「料理と科学」を考える上での3人

料理と科学の「接近」を考える上で、以下の3人から考えてみたいと思います。 フェラン・アドリア エルヴェ・ティス ヘストン・ブルメンタール フェラン・アドリア Ferran Adriàは、スペインのレストラン「エル・ブジ El Bulli」のシェフ。 エルヴェ・ティス…

Modernist Cuisine モダニスト料理

「Modernist Cuisine」という料理本。とうとうやってきました。 これは、すごい! 今日届いたのですが、中身のグレードの高さに圧倒されました。写真の色鮮やかさ、随所にある調理道具ごと切った「断面図」、分かりやすい科学的視点。そして、予想以上に大き…

エンド・オブ・サマー・ミール End-of-Summer Meal

午前中、勤務先から離れた別のキャンパスで会議があり、帰りに、仙台北環状線沿いの讃岐うどんのお店でお昼をいただいました。 半熟玉子天うどんの「ひえひえ」。とても、おいしかったです。 日本全国、厳しい残暑が続いていますが、仙台は今週末から最高気…

奴隷制度から生まれたブラジルの国民料理

サンパウロで日系ブラジル人の方に街の市場を案内して頂いている時、ブラジルの国民的料理である「フェイジョアーダ」の話になりました。 「地球の歩き方」に次のように載っていたので、私もその料理のことなんとなくは知っていました。 フェイジョアーダ Fe…

「宇宙料理学」「宇宙調理学」の登場!?

TIME.comで見た「宇宙食」に関するニュース*1で思ったことをひとつ。 (TIME.comより) 人類の宇宙への夢は、尽きないものです。今、もっとも期待度の大きい宇宙分野の夢は、やはり「火星有人探査計画」でしょう。 火星への有人探査には、2、3年必要とされ…

「“ゼリー”カップヌードルライト」いざ、実食!

前回からのつづき。 プッチンプリン、ならぬ「プッチンラーメン」をいただくことに。 ナイフとフォークで中心から切り、その縦断面を見てみると、 おぉ、まるで、“テリーヌ”のよう! 期待度がますます高まり、プルプルと黄金色に輝く「カップヌードルテリー…

「“ゼリー”カップヌードルライト」完成!

前回からのつづき。 一晩、冷蔵庫でしっかりと冷やしました、「三兄弟」。 ゼリー カップヌードル ライト レギュラー まずは、しょうゆ味の「レギュラー」のフタを開けてみると、「液」が減っていました。内側の線まで、ゼラチン溶液を入れたはずでしたが。 …

夏はICEで?、いやいや“ゼリー”で!「ゼリーカップヌードルライト」への挑戦

食品会社各社は、節電の夏に向けて、冷たい食品の開発や冷たくして食べるスタイルのPRに力を入れています。 その中でも、注目度が高いのは、日清食品さんの「カップヌードルライト」に氷を入れ、冷たくして食べる「夏はICEで!カップヌードルライト」のキャ…

「そば粉製品≒めんのそば」なのはなぜか?

前のブログで『一日三食そばでもいい「そば喰い」にとって、…』と書きましたが*1、そば好きの多くは、「麺の蕎麦“切りそば”が好き」という意味であって、決して「そば粉をお湯で練った“そばがき”が好き」というわけではないでしょう。 先日、私が担当してい…