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夜食日記

食品研究者が夜中に「食」についてつらつら綴る日記。専門は、分子レベルの「食品学」「調理学」「栄養学」。「クックパッド食みらい研究所」特別研究員。分子料理・分子調理ラボ(www.molecular-cooking-lab.net)を主宰しています。食ほど体と心に影響を及ぼすものはないと思いませんか。

TOKYO FM「未来授業」に出演しました

先週、TOKYO FM「未来授業」の講師を務めた回がオンエアされました。 「分子調理」や「食の未来」について話しています。Podcastで聴けるようです。 Podcast聴きましたが、われながら、眠くなる声だなと思いました。 ご興味のある方は、睡眠学習にどうぞ。

“遠心分離”アイスキャンディー

暑い日が続いています。暑すぎるとアイスクリームよりもアイスキャンディーが食べたくなるものです。 ラボで100%果汁を遠心分離したアイスキャンディーを作ってみました。 ひとまずスイカ、メロン、キウイフルーツ、桃、オレンジを5種類を準備。 家庭用ジュ…

玉ねぎではなく長ねぎを“あめ色化”してカレー用にする方法

前回のエントリーで、「玉ねぎのあめ色化のスピードアップ」を図りました。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/07/05/215545" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2015/07/05/215545">カレーの玉ねぎの“あめ色化”をスピードアップさせる方法 - 夜食日記</a> アルカリ性側でメイラード反応が促進することから、玉ねぎにアルカリの塩である「重曹」を加えて炒めてみたとこ…

カレーの玉ねぎの“あめ色化”をスピードアップさせる方法

カレーはいつでもおいしいですが、暑くなるとよりカレーが食べたくなります。 本格的なカレーを作ろうとすれば、「玉ねぎを炒める」という作業は必須でしょう。玉ねぎをあめ色になるまで炒めると、甘さと独特の香りが生まれます。 しかし、玉ねぎをしっかり…

トランスグルタミナーゼによる「しらすバーガー」の創作

食品成分を“つなぎ合わせる”酵素の一つに、「トランスグルタミナーゼ」というものがあります。 以前、このブログでも紹介しました。 <a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2013/09/03/215737" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2013/09/03/215737">多彩な“食感”を生み出す「トランスグルタミナーゼ」の分子ガストロノミーへの応用 - 夜食日記</a> トランスグルタミナーゼを使…

「分子調理」のおいしい世界 第3回 @応用物理

応用物理学会の機関誌『応用物理』において、『「分子調理」のおいしい世界』の第三弾を掲載して頂きました。 ノーベル賞受賞式・晩餐会に同行された先生の臨場感のたっぷりの報告がとても興味深いものでした。 もう一つ、ノーベル賞受賞に際しての応用物理…

新しい料理を作るための“ゲル化”

国内外の前衛的なレストランでは、増粘剤などを使って、新しい食感を持つ料理が次々と開発されました。この増粘剤によるゲル化の役割は、液体の食材に粘りを増して形を保つことと、完全に固めることにあります。 増粘剤を使って、液体の周りをゼラチン質で覆…

“ホット・アイスクリーム”の作り方

材料 牛乳:1 カップ(200 g) 砂糖:10 g メチルセルロース:4 g バニラビーンズ:適量 卵黄:1個(コクを出す場合) 作り方 材料をすべて合わせる。 冷蔵庫で一晩寝かす。 生地をかき混ぜる。 電子レンジで加熱する。 好みの大きさに取り分ける。 だいた…

“ホット・アイスクリーム” 温めると固まり、冷やすと溶ける

念願だった“温かいアイスクリーム”「ホット・アイスクリーム」の試作品ができました。ネーミング的に、矛盾していますが…。 温度が、70℃超えの“アイスクリーム”です。 ババロアっぽいですがババロアではありません。 普通のアイスクリームは、冷たいうちは形…

「分子調理」のおいしい世界 第2回 @応用物理

応用物理学会の機関誌『応用物理』において、『「分子調理」のおいしい世界』の第二弾を掲載して頂きました。 第二回目の応用物理 第83巻 第12号 (2014)のタイトルタイトルは、『科学者が「料理」に出会うとき』というものです。科学者から見た料理の科学の…

ラーメンの“料理の式”とその式を変形した料理

前回のエントリーの続き。 &lt;a href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/02/205518" data-mce-href="http://yashoku.hatenablog.com/entry/2014/12/02/205518"&gt;料理の見方を変える「料理の式」 - 夜食日記&lt;/a&gt; 料理の式の例として、“…

料理の見方を変える「料理の式」

フランスの物理化学者がエルヴィ・ティスが考案した「料理の式」。以下のふたつの要素を組み合わせることで、あらゆる料理が表現できるといっています。 要素その1(食材の状態) G(ガス):気体 W(ウォーター):液体 O(オイル):油脂 S(ソリッド):…

『応用物理』で「分子調理」の連載が始まりました

応用物理学会の機関誌『応用物理』において、「分子調理」に関する記事の連載をしていただけることになりました。 大変ありがたいことです。 第一回目の応用物理 第83巻 第11号 (2014)のタイトルは、「分子調理って何?」というもの。 内容は、杏仁豆腐並に…

卵のジャーキーはなぜないのか? “エッグ・ジャーキー”の開発

大学1年生の少人数教育の演習科目で行った、あるお試し実験から。 <イントロダクション> 「ビーフ・ジャーキーはあるのに、なぜエッグ・ジャーキーはないのか?」という卵研究者(私)の永遠の命題!?を解決するために、実際に「エッグ・ジャーキー egg …

箸やフォークはここまで来た! カトラリーに迫るハイテク化の流れ

「メガネ」や「腕時計」のウェアラブルコンピュータ化が進んでいますが、「食」の分野でも、さまざまなハイテク化を目にするようになりました。 料理を口に運ぶ箸やフォークなどのカトラリーに忍び寄る「高機能化」の例を3つピックアップします。 食事のス…

NHK「視点・論点」に出ました

今日のNHK「視点・論点」に出演させて頂きました。以下、詳細です。 番組名:視点・論点テーマ:おいしさと科学出演者:宮城大学准教授 石川伸一放送日:9月16日(火) NHK総合 4:20〜4:30 NHK教育 13:50〜14:00ブログ:http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-bl…

エル・ブリのフェラン・アドリアに関する書籍等4点

先月出版された『料理と科学のおいしい出会い』に関する参考図書などをシリーズで紹介します。 最初は、第1章の「料理と科学」の出会いの歴史から、『エル・ブリ』のフェラン・アドリア氏に関するものから。 1. エル・ブリ 想像もつかない味 一つ目は、2002…

アイスクリームの分子構造 〜分子調理によるアイスクリームの未来〜

前回、前々回からの続き。 乳脂肪分の多い濃厚なプレミアムアイスクリームのおいしさのひとつは、そのクリーミーな舌触りですが、そのアイスクリームを顕微鏡等を使って分子レベルで見ると、アイスクリームの中の氷の結晶が小さいことがわかります。 アイス…

アイスクリームの分子構造 〜アイスクリームの“柱”とは?〜

前回からの続き。 アイスクリームは、見方を変えるとミックスの中に空気を抱き込んだ「泡」であるといえます。さらに、ミックスは脂溶性分子と水溶性分子が混ざり合った「エマルション」でもあります。つまり、アイスクリームの構造には、メレンゲ菓子やマヨ…

新食品への恐怖と興味の背景にあるもの〜食品心理学の視点から〜

今日は虫の日でした。今日の講義の終わり頃に、前のブログ記事のような話をちょっとしました。そうしたら、学生に講義の終わりに毎回書いてもらっているコメント票の一つに「虫が気持ち悪すぎて、今日の講義がどんな内容だったか忘れるくらい強烈なイメージ…

分子ガストロノミーの登場、分子調理の行方

編集者さんから見本本が送られてきました。うれしさのせいなのか、それとも暑させいなのか、顔のテカリが五割ほど増しています。 裏面。↓ 編集者さんによるコピー等が、帯の鮮やかなピンクのバックに浮かんでいます。 背表紙には「分子ガストロノミーの登場…

分子調理=分子調理“学”×分子調理“法”

前のブログでも書きましたが、エルヴェ・ティス氏は「分子ガストロノミーは技術ではなく科学である」と定義しています。分子ガストロノミーといえば、斬新な料理のイメージを抱かれる方も多いかと思いますが、創設者は目新しい料理に分子ガストロノミーとい…

分子ガストロノミーは死んだ!?  その発展を阻んだものとは?

先日ご紹介した「料理と科学のおいしい出会い: 分子調理が食の常識を変える」という本の説明がごちら。 内容説明 近年、物理学、化学、生物学、工学の知識を調理のプロセスに取り込み、これまでにない新しい料理を創造しようとする「分子調理」が注目されて…

「料理と科学のおいしい出会い」という本が出ます。

自然科学分野の書籍を発行している化学同人さんから「料理と科学のおいしい出会い: 分子調理が食の常識を変える」という本が出ることになりました。 化学同人さんのサイトでもこれから出る本として掲載されています。 表紙は、これからです。 料理と科学のお…

フードペアリング仮説 「“科学的”食材組み合わせ」による新メニューの開発

よく「日本料理は“引き算”の料理、フランス料理は“足し算”の料理」といわれます。 日本料理は、余計な調理を極力省き、素材そのものの味を引き立たせることを優先させるのに対し、フランス料理は、多彩な食材を組み合わせ、深みのあるソースが味のベースにな…

「煮ても硬いタケノコがスプーンですくって食べられる」という技術

おととい、日本食品科学工学会の東北支部主催の市民フォーラムがあり、裏方で手伝いをしたのですが、興味深い話を耳にしてきました。 フォーラムのテーマは「介護食のユニバーサル化」という、高齢化社会に向けた食についてのお話でした。 高齢の方でなくて…

「料理は科学ですね」

さっき見ていたNHKの連続テレビ小説の「ごちそうさん」で、主人公のめ以子(杏さん)が、スコッチエッグの熱伝導を話す下宿生の悠太郎に「料理は科学ですね」といっていました。 科学を知っていると料理は格段においしくなりますが、科学は料理のおいしさの…

“人工イクラ”が「オリーブオイル・キャビア」になって凱旋帰国!?

この前、スペイン、バルセロナのオリーブオイル専門店で買った「オリーブオイル・キャビア」を食べてみました。 クラッカーの上に、モッツァレラチーズとトマトと一緒に載せてみましたが、見た目がキラキラして綺麗ですね。 食感は、イクラと同じように“プチ…

多彩な“食感”を生み出す「トランスグルタミナーゼ」の分子ガストロノミーへの応用

食品のおいしさを増強させる反応に「熟成」があります。味噌や醤油、ワインやウィスキー、食肉や魚肉などを、適切な状態で適切な時間寝かせることによって、「おあずけ」されただけのことはあるおいしさを手に入れることができます。 熟成の反応は、基本的に…

あなたに“究極に合う”食を提供する「3Dフードプリンタ」のアナザ・インパクト

3Dプリンタの食品版「3Dフードプリンタ」は、ユニークな形のお菓子が作れるだけではなく、「誰でも、どこでも、食感のある“食事”を自動的に作ることができる」可能性があることを前のブログで書きました*1。 そのため将来、3Dフードプリンタは「究極の調理機…

史上最大の“炒飯”大実験

最近は、料理好きな男子もまったく珍しくなくなりましたね。勤務先の大学にも「料理男子」たちがたくさんいます。元「料理“男子”」だった私もこの時代の好ましい変化に感慨深いものがあります。 本屋に行くと、そんな料理男子向けの雑誌がたくさん並べられて…

未来の料理の行方

先週、私の誕生日で、大変ありがたいことに、研究室のラボメンバーに手作りの「卵型のケーキ」とプレゼントを頂きました。 「ケーキが卵型」なのは、私の専門が「卵の科学」だからです。2日がかりの力作だったそうで、「卵黄」部分のカスタードと生地の層が…

ヘストン・ブルメンタールの「料理と科学」 科学実験好きな料理人

科学的な調理法を使う料理人として、「エル・ブリ」のフェラン・アドリアと同様に有名なのが、ヘストン・ブルメンタールでしょう。 ヘストン・ブルメンタールはイギリス生まれで、ロンドン西部のバークシャーにあるレストラン「ファット・ダック」のシェフで…

エルヴェ・ティスの「料理と科学」 料理が好き過ぎた物理化学者

エルヴェ・ティスは、パリにあるフランス国立農業研究所の研究者で、調理のプロセスにおける物理化学的な研究で知られています。 私が、彼を初めて知ったのは、『フランス料理の「なぜ」に答える』という本でした。 ティスが著者であるその本の帯には、 料理…

フェラン・アドリアの「料理と科学」 “斬新”を作るための“科学的”技術

私は、 料理(Cooking) 科学(Science) 芸術(Art) の“3つ輪”が交わる「融合領域」に強い関心があります。 スペインのシェフ、フェラン・アドリアの料理は、そのうち「料理」と「芸術」の2つの輪が大きく重なって見えます。しかし、「科学」の“輪っか”…

「料理と科学」を考える上での3人

料理と科学の「接近」を考える上で、以下の3人から考えてみたいと思います。 フェラン・アドリア エルヴェ・ティス ヘストン・ブルメンタール フェラン・アドリア Ferran Adriàは、スペインのレストラン「エル・ブジ El Bulli」のシェフ。 エルヴェ・ティス…

Modernist Cuisine モダニスト料理

「Modernist Cuisine」という料理本。とうとうやってきました。 これは、すごい! 今日届いたのですが、中身のグレードの高さに圧倒されました。写真の色鮮やかさ、随所にある調理道具ごと切った「断面図」、分かりやすい科学的視点。そして、予想以上に大き…

届いた!「分子料理レシピ本」と「分子料理キット」

今週は、毎日会議が入っている会議ウィーク。特に今日は、午前も午後も“会議ざんまい”でした。 会議が終わった夕方頃、大学の個人ポストに郵便物を取りに行くと、Amazonで以前注文したものが届いていました。 「Molecular Cuisine: Twenty Techniques, Forty…

大学院のパンフレット

1ヶ月ぐらい前のことですが、来年度2013年度の学部と大学院の入学希望者用のパンフレットが完成していました。 今回、大学院用のパンフレットを紹介します。 宮城大学のパンフレットでは、毎年、学生が表紙デザインをするのが恒例となっています。今回の表…

料理を“ワッフル化”する 〜エピローグ〜

前回のつづき。 プロローグで始まった「料理を“ワッフル化”する」の一連のブログ。このエピローグで締めたいと思います。 電気店に残された「たこ焼き器」 3.11東日本大震災で被災し、ライフラインが断たれた後の話から。 ライフライン途絶後、私の家は電気…

「京料理の挑戦:農芸化学とガストロノミーの融合」で思ったこと

年度末、京都と名古屋での学会をはしごし、仙台に昨日戻ってきました。私の研究室所属の院生と学部学生の口頭発表デビューがありました。いい経験になったことでしょう。 私もいろいろ「インプット」に励んだ学会シーズンでした。その中で、興味深かった京都…

ウコンの“赤い”力 〜ある食品研究者の夕食から〜

ウコン(ターメリック)を用意します。 薬包紙の載せ、まずその色をよーく観察します。 黄色(からし色)です。 1品目 ターメリックを皿に移し、田楽用のこんにゃくと並べ、何かが起こりそうな淡い期待感を抱きます。 ターメリックをこんにゃくに、“これで…

科学者が明らかにした「完ぺきなトーストを焼く方法」

10月号のクーリエ・ジャポンで「おいしいトーストを焼く方程式の大発見」という小さい記事を発見。私にとってかなりツボの記事です。 元ネタはUKのデイリー・エキスプレスの記事から*1。 イギリスのパンメーカー「フォーゲル Vogel」に依頼された研究チーム…

災害時だからこそ、おいしいものを!

今回の東日本大震災で被災された地域、また買いだめによる食料品不足が起こった首都圏等では、少なからず「食」の実態が浮き彫りにされたように感じます。 実際に仙台で被災した一食品研究者として、震災時に食べることの意味、特に食の「おいしさ」について…

朝日新聞「料理と科学が出会う時」を科学者が読んだ感想

一昨日の3月7日、朝日新聞グローブの第59号に「料理と科学が出会う時」という特集記事がありました。記事は、Web版でも一部ご覧になれます*1。 目次は次のようなものです。 [米国・マサチューセッツ州]黒いエプロンには、数式があしらわれていた [ス…

「香港経済日報」に載りました

このブログで何度も出ている、大学1年生対象の「基礎ゼミ」の活動の一部が、「香港経済日報」に掲載されました。 「食之進化(食の進化)」というタイトルの記事で、主に「分子料理」のことについて書かれています。 大きく掲載された写真は↓、私が以前この…

料理を分子レベルで調べたい理由 −知的好奇心を揺さぶりたい−

これまで*1、*2、*3の続き。 カナダに研究留学中、ある一人の日本人学生と出会いました。日本の高校を卒業した後、カナダの大学に入学した「スミタニ君」という、環境学を学んでいる男子学生でした。 留学先の街の規模は小さくて、いかにも北米の田舎にある…

料理を分子レベルで調べたい理由 −食の流れの中で−

前々回*1、前回*2の続き。 今から約11年前、大学院時代の「生体物理化学」という研究室から、「食品科学」という研究室の教員になりました。 ちょうど、食の研究分野では、食品そのものを研究するよりも、その機能性、特に「生体調節機能」に関する研究が…

料理を分子レベルで調べたい理由 −アイスクリーム作りでわかったこと−

昨日*1の続き。 学生時代、料理が好きだったのと、貧乏だったので、毎晩家でご飯を作っていました。さらに、お菓子作りが趣味な同級生に触発され、週末、家でケーキやパンなども作るようになりました。 お菓子を作ってみると、基本レシピ通りにすれば、それ…

料理を分子レベルで調べたい理由 −料理は化学実験−

私の出身学部は、農学部です。その男女構成は、同じ理系の工学部ほどではなかったですが、7:3ぐらいで男子学生の方が多かった気がします。 自分の大学時代、そして自分が理系の学部の大学教員になってから、お菓子作りが趣味の理系男子学生に結構な数遭遇し…