夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

「第4次産業革命と栄養学の未来」

第28回女子栄養大学栄養科学研究所講演会において講演させて頂きました。 全体のテーマは「第4次産業革命と栄養学の未来」、私の講演タイトルは「未来の食を考える上でのフレーム ~新しい食のテクノロジーとどう向き合っていけばいいのか?~」というもので…

AIは感動する料理を作れるか?

料理王国の11月号が大学に届きました。 8月のSmart Kitchen Summit Japan 2018でちょっとだけ取材を受けたものを載せていただいたからでしょう。 料理王国2018年11月号 出版社/メーカー: CUISINE KINGDOM 発売日: 2018/10/06 メディア: 雑誌 この商品を含…

『科学のごちそう 〜試験管からのレシピ〜』

先月、分子調理研究会の2018年度総会・勉強会・親睦会を行いました。 その際、来日していオーストリア・グラーツ大学のトレイバーフリッツ先生に一冊の本を頂きました。 『Science Schmankerl: Rezepte aus dem Reagenzglas』というドイツ語の本です。日本語…

「肉はメディア、料理はメディアアート」

立命館大学びわこ・くさつキャンパスでの肉肉カンファレンス2018に参加・発表してきました。 食の価値の多様化をまじまじと感じた会でした。‬稲見昌彦先生(東京大学先端科学技術研究センター 教授)の「肉はメディア、料理はメディアアート」という視点が興…

「昆虫食」に関する海外の料理本

「昆虫食」に関する研究をしていますが、昆虫が世界的に大きな食のトレンドになってきているのを肌で感じています。 私の昆虫食研究のゴールのひとつは「昆虫食のふつう化」ですが、ニュース等で見る昆虫食は、センセーショナルな見出しや新規食資源的な視点…

未来のレストランは「ロボット接客」が当たり前になるか 〜感情労働が強いる奴隷根性〜

高級なレストランなどで、テーブルに着席するときに、ウェイターが椅子を引いてくれるサービスはあまり必要性を感じません。むしろサービスにはちょっと迷惑と感じるようなものもあります。仰々しいあいさつや、大勢での見送りなど。なぜ、そのような無用な…

「新しい食」を知るための視点

美術手帖の10月号の特集が「新しい食」でしたので、おもわず脊髄反射的に購入しました。 美術手帖2017年10月号 作者: 美術手帖編集部 出版社/メーカー: 美術出版社 発売日: 2017/09/16 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 料理の美しさに感動するこ…

愛猫の死

昨日、愛猫が死にました。茶トラのオス猫でした。 出会いは、私が大学教員として最初に赴任した大学の2年目のこと。卒論指導をしていたM君に「子猫拾ったんですけど、自分飼えないので、先生飼ってくれませんか?」と言われたのがきっかけでした。かなり熟…

The Kitchen as Laboratory 新しい「料理と科学」の世界

本日、刊行となりました。 The Kitchen as Laboratory 新しい「料理と科学」の世界 (栄養士テキストシリーズ) 作者: Cesar Vega,Job Ubbink,Erik van der Linden,阿久澤さゆり,石川伸一,寺本明子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/06/23 メディア: 単行…

「料理の式」による新しい料理の開発 解説その4

これまでのつづき。 「料理の式」を用いた粘土による新しい料理の開発(実践版) チーズタルトのタルト部分を「青色」をチーズ部分を「黄色」とし、そのチーズタルトの「料理の式」と、その「粘土モデル」と「実際のお菓子」は次のようになります。 チーズタ…

「料理の式」による新しい料理の開発 解説その3

前回、前々回つづき。 「料理の式」を用いた粘土による新しい料理の開発(体験版) チーズタルトのタルト部分を「A(青色)」をチーズ部分を「B(黄色)」としたとき、「分子活動の状態(+、/、⊃、σ)」の記号をそれぞれ解説すると下のようになります。 下は…

「料理の式」による新しい料理の開発 解説その2

前回のつづきです。 【方法】 「料理の式」の定義について 「料理の式」はレシピに基づき、フランスの物理化学者エルヴェ・ティスの提唱した「食材の状態」(気体:G、液体:W、油脂:O、固体:S)および「分子活動の状態」(分散:/、併存:+、包合:⊃、重層…

書は芸術なのか? 食は芸術なのか?

国立新美術館の「ダリ展」を観てきました。 ダリの自伝には「六歳のとき、私はコックになりたかった」と書かれていることからもわかるように、ダリは「食」に強い関心を持っています。 晩年には料理本『ガラの晩餐』まで出版しています。 Dalí: Les Diners D…

「料理の式」による新しい料理の開発 解説その1

先日行ったサイエンスアゴラ2016に出展した「あらゆる料理を“式化”する ~料理を「料理の式」でとらえ、新しい料理を生み出そう!~」の解説をしたいと思います。 やわらかい論文風で。 【背景・目的】 私たちは、日々さまざまな「食」に囲まれて暮らしてい…

野性イナゴ VS 養殖イナゴ

夏が終わり、実りの秋を迎えようとしています。 秋の味覚といえば、なんといってもイナゴです。 研究でイナゴを“養殖”しています。養殖イナゴさんたちに、野性イナゴさんと戦っていただくことにしました。サッカーで。 野性イナゴ「ワイルズ」は、フォーメー…

「料理と科学のおいしい出会い」の韓国語版が発売されました

拙著「料理と科学のおいしい出会い」の韓国語版が発売されました。 編集者さんに何冊か送ってもらいましたが、表紙がかわいいです。 わりとハングルです。かなりハングルです。圧倒的にハングルです。 自分の名前の漢字しか読めません。 本文を見ると、イラ…

「スイーツ×テクノロジー」イベントで感じたこと

BAKEさんとSONYさんとの「スイーツ×テクノロジー」のコラボイベントに審査員として呼んでいただいて、参加しました。 率直な感想は、楽しかったです。ものすごく。 新しい「もの」や「考え方」を、ゼロから立ち上げることはハードルが高いため、やはり異分野…

アルコールで“だし”は取れるのか? その3

前々回、前回のつづき。 昆布やかつお節など、10種類の食材をほぼ100%アルコールの「スピリタス」で「アルコールだし」をとりました。 特に、かつお節とミックスナッツからとったものは、水割りにするとかなりおいしいものでした。純度の高いアルコー…

アルコールで“だし”は取れるのか? その2

前回のつづき。 10種の食材をアルコール度数96%の「スピリタス」に二晩浸して“アルコールだし!?“を取りました。 まずは、見た目から。抽出液の色がわかるように、真横からのアングルで。 昆布。 かつお節。 シイタケ。 にぼし。 ホタテ。 ビーフジャーキー…

アルコールで“だし”は取れるのか? その1

和食や日本食の“要”といえば、昆布やかつお節からの「だし」でしょう。煮物や汁物でのだしのうま味がなければ、文字通り“味気ない”ものになります。 だしは、当たり前ですが水から取ります。 「だしを取る」というプロセスを化学的に表現すると、昆布やかつ…

芸術としての料理の基本原理 〜多様性と統一性〜

先週、仕事帰りにクラシックコンサートを聴く機会がありました。 生のオーケストラの“音圧”が、体の芯に響きました。遠赤外線ヒーターのように、内からじわじわと気分が高揚します。 生音を浴びながら、料理と音楽との類似性を考えていました。 興味をかき立…

“自販機化”する料理

前回の続き。 昔の未来予想やアニメそしてSFには、「人型ロボット」が登場します。家事ロボット、運転手ロボット、執事ロボット、警官ロボット、殺人ロボット等々。 私たちが生きる現実の世界にも、ソニーの「AIBO」、ホンダの「ASIMO」、ソフトバンクの「Pe…

調理の“ロボット化”によって見えてくるもの

上海で『ラーメンロボット』が登場というニュースを見ました。 作っている動画を見ると、トッピングの乗せ方が、ちょっと残念です。↓ 日本で一世を風靡したラーメンロボット 元になっている技術は、日本の産業用機械メーカーの株式会社アイセイさんによるも…

TOKYO FM「未来授業」に出演しました

先週、TOKYO FM「未来授業」の講師を務めた回がオンエアされました。 「分子調理」や「食の未来」について話しています。Podcastで聴けるようです。 Podcast聴きましたが、われながら、眠くなる声だなと思いました。 ご興味のある方は、睡眠学習にどうぞ。

フードペアリングとファッションの“奥深さ”にある共通点

先日、ある集まりで、以前アパレル関係、今は食品関係にお勤めの男性の方とお話する機会がありました。その話の中で興味深かったことを一つ。 その集まりの最初で、私が「フードペアリング仮説」について、ちらっとお話しました。 フードペアリング仮説とは…

「今を生きる」人こそ、未来を考えよう

機械化や人工知能の進歩によって、近い将来「消える仕事、食えなくなる仕事」などをよく耳にするようになりました。 現在、働いている人は今の職業、学生などはこれから就く職業が、未来永劫安泰だと思っている人はおそらく少ないでしょう。今後、多くの人が…

未来を思う原動力とは? 〜「食」への不安と期待〜

最近、「未来」に関する書籍やTV番組などが多いように感じます。私が興味あるので、ただ目に留まるだけなのかもしれませんが…。 現代の未来への社会的関心は、世界のグローバル化の行方、人の予想を超えた新デジタル・新テクノロジーの登場、異常気象による…

「なぜ凍結卵は固まるのか」から「次の凍結卵の可能性」まで

昨年からブームとなっている「凍結卵」。だいぶ市民権を得てきた印象を受けます。さらに、凍結卵で「卵黄のお刺身」など新ジャンルの料理の開発も進み、凍結卵の世界はまだまだ大きな広がりを見せそうな勢いです。 もともと、卵黄が固まるゲル化という現象は…

“超遠心分離”目玉焼き 食材を“分解する”という調理アプローチ

以前のエントリーで、生果汁を遠心分離して、密度差のある「“遠心分離”アイスキャンディー」を作りました。“遠心分離”アイスキャンディー - 夜食日記 昔は入手困難だった世界中の食材が、現在比較的手に入りやすくなることによって、食材による料理の差別化…

「料理と科学のおいしい出会い」の中国語(繁体字)版が発売

昨年6月に化学同人さんから「料理と科学のおいしい出会い」という本を出させていただきましたが、昨年末頃、台湾の出版社から中国語の繁体字(はんたいじ)版の翻訳オファーをいただいていました。 その翻訳本が本日、化学同人の編集者さんから送られて来ま…