夜食日記

分子調理学者。料理・調理のメカニズムを研究する大学教授。著書に『料理と科学のおいしい出会い』(化学同人)、共訳書に『The Kitchen as Laboratory』(講談社)など。分子料理・分子調理ラボ(http://molecular-cooking-lab.net)を主宰。関心は「食×科学×芸術」。

「新しい食」を知るための視点

 美術手帖の10月号の特集が「新しい食」でしたので、おもわず脊髄反射的に購入しました。

美術手帖2017年10月号

美術手帖2017年10月号

 

 料理の美しさに感動することがあるように、食には美的な側面があります。しかし、その食の芸術性だけを抜き出して考察するのは難しいものです。

 美術手帖でも、食文化、科学・技術、グローバル経済・社会問題等のいろいろな視点が入っていました。

 「フード×アート」の分野でも近年さまざまな活動が行われていることを知りました。

 現在、科学至上主義が科学者の私から見ても蔓延しているように感じます。特に、食のおいしさを科学的に明らかにしたいという要望をいろいろな方から頂きます。

 しかし、料理のおいしさにとって美的な感覚、食の芸術性の存在は大きく、科学的な視点のみではおいしさの全容には迫れないことを、ここ数年強く感じています。

 これから何を、どう食べるのか、未来の食がどうなるのか、理性と感性にわけ、さらにそれらを統合して議論しなければならないのを、今回の美術手帖を見て感じました。